冬になると肩こりや腰痛がひどくなる、朝起きたときに体がガチガチで痛い——そんな経験をお持ちの方は少なくないのではないでしょうか。じつはこれ、「気のせい」でも「年齢のせい」でもなく、寒冷刺激に対する身体の生理的な反応が積み重なった結果である可能性があります。茨城県内でも、龍ケ崎・つくば・土浦といった内陸部では冬の朝晩の冷え込みが特に厳しく、この時期に「冬になると体が痛い原因を知りたい」という相談が増える傾向があります。なぜ寒さは体を痛くするのか——その仕組みを解剖・生理・自律神経・筋膜の視点から丁寧に読み解いていきます。
冬になると体が痛くなる——それは身体が「生き延びようとしている」サインだった
寒くなると体が痛くなるのは、身体が「敵対的な環境から命を守ろうとしている」反応である可能性があります。これは弱さではなく、むしろ身体が正常に機能しているサインと考えることができます。
体温を守るための「筋肉の壁」
人間の身体は、体温を一定に保つ(体温調節)ために、気温が下がると筋肉を収縮させて熱を産生しようとします。いわゆる「ふるえ」はその典型ですが、実際にはふるえが起きる前の段階から、全身の筋肉はじわじわと緊張状態に入っています。これが体温調節のための筋肉のこわばりです。
問題は、この「守りの収縮」が長時間・長期間にわたって続くことにあります。たとえば、龍ケ崎や土浦のような地域では12月から2月にかけて最低気温が0〜3℃前後まで下がる朝が続くことがあります。毎朝その環境にさらされるたびに筋肉が緊張を繰り返せば、筋緊張は慢性的なものになっていく可能性があると考えられます。
「寒さへの備え」がそのまま痛みになる
筋肉が収縮し続けると、筋肉内の血管も圧迫されて血流が低下します。血流が低下すると、組織に必要な酸素や栄養素が届きにくくなり、同時に疲労物質(乳酸など)が滞留しやすくなります。この状態が続くと、筋肉はさらに硬くなり、痛みを感知する受容器(侵害受容器)が敏感になる可能性があります。
つまり「寒いと体が痛い」という現象は、冷え→筋収縮→血流低下→疲労物質蓄積→痛みという一連の連鎖反応として理解できます。これは「ちゃんとした生理的な理由があると考えられる」現象であり、単なる気のせいではありません。
- 寒冷刺激 → 体温調節のための筋収縮
- 筋収縮の持続 → 血流低下・疲労物質の滞留
- 血流低下 → 酸素・栄養の不足
- これらの積み重ね → 痛みの発生・増強
冬の朝に「体がガチガチ」と感じるのは、一晩中この防衛反応が働き続けた結果である可能性があります。身体は懸命に「あなたを守ろうとしていた」とも言えます。
寒冷刺激が筋緊張を生む仕組み——筋膜・血流・交感神経の連鎖反応
では、もう少し深いレベルで「なぜ寒さで体が痛くなるのか」を見ていきましょう。ここでは筋膜の硬化・血管収縮・交感神経の活性化という三つの視点から整理します。
寒冷刺激が交感神経を活性化させる
寒さを皮膚が感知すると、その情報は脊髄を経由して脳に伝わり、交感神経(寒冷刺激 交感神経)が優位な状態に切り替わります。交感神経が活性化すると、身体は「戦うか逃げるか(Fight or Flight)」のモードに入り、以下のような反応が連鎖的に起きる可能性があります。
- 血管収縮:体表近くの血管を細くすることで、体の中心部(内臓)に血液を集める
- 筋緊張の上昇:いつでも動けるよう、全身の筋肉が緊張状態になる(冬 血管収縮 筋緊張)
- 心拍数・血圧の上昇:必要なエネルギーを素早く供給するため
この反応自体は正常かつ必要なものです。しかし毎日繰り返されると、交感神経は「緊張状態がデフォルト」になっていく可能性があります。
筋膜の冷えと硬化——見落とされやすい原因
筋膜(きんまく)とは、筋肉を包む薄い膜状の結合組織です。近年の研究では、筋膜は単なる「包み紙」ではなく、全身をつなぐ感覚器・張力伝達系として機能していることが明らかになってきています。
この筋膜は、温度が下がると弾力性を失い硬くなる(筋膜 冷え 硬化)という特性を持っています。コラーゲン繊維で構成された筋膜は、低温環境では粘弾性(ゴムのような伸び縮みの性質)が低下するため、動きが制限されやすくなります。
筋膜が硬くなると、その張力は隣接する筋肉・関節・さらには離れた部位にまで伝わる可能性があります。たとえば、背中の筋膜が硬くなれば、腰の動きにも影響が出ることがあります。これが「冬に肩こりが悪化する」「冬 肩こり悪化」の一因として考えられる仕組みの一つです。
また、筋膜系はその連続性から、局所の冷えと硬化が広範囲の筋緊張・痛みにつながっていく可能性があります。「なんとなく全身が重い・痛い」という冬の不調には、こうした筋膜ネットワーク全体の影響が関わっている可能性があると、整体師・オステオパシーの視点では考えます。
オステオパシー・整体師から見た「冬の痛み」——内臓連動と自律神経疲弊という視点
一般的に「冬の体の痛み=筋肉の問題」と捉えられることが多いですが、オステオパシーや整体師の視点からは、もう一層深い部分——内臓との連動と自律神経への蓄積負荷——に着目することがあります。
内臓体性反射——内臓の緊張が腰痛を生む可能性
「内臓体性反射(ないぞう たいせい はんしゃ)」とは、内臓の緊張や機能低下が、脊髄を介して対応する筋肉・関節の緊張を引き起こす仕組みのことです。たとえば、腎臓周辺の緊張が腰部の筋緊張として現れる可能性があることは、内臓体性反射 腰痛として臨床的に注目されているテーマです。
冬になると腎臓・膀胱・腸といった内臓も、寒冷刺激と血流低下の影響を受けやすくなる可能性があります。内臓を包む膜(漿膜や腹膜)が冷えにより硬くなれば、その張力は横隔膜・腰椎周辺の筋膜へと伝わり、腰痛や背部痛に関わってくる可能性があると考えられます。
当院の臨床経験では、冬に「寒いと腰痛がひどくなる」と訴える患者さんの中に、腰の筋肉だけでなく腹部・内臓周辺の緊張が強い方が見られることがあります。これはあくまで当院の傾向として感じることであり、すべての方に当てはまるわけではありませんが、腰痛の原因を「腰だけ」に絞ってアプローチしても変化が乏しいケースでは、こうした視点が施術の視点を広げることがあります。
自律神経の「冬季疲弊」という考え方
自律神経は、交感神経(活動・緊張)と副交感神経(休息・回復)のバランスで成り立っています。寒冷刺激が続くと交感神経が慢性的に優位になり、副交感神経が十分に機能しにくくなる可能性があります。
研究では、感染症後などに交感神経・副交感神経の両方が障害される自律神経障害が長期間持続する可能性が示されています。冬の寒さという環境的ストレスが毎日積み重なることで、自律神経のバランスが乱れやすい状態(寒さ 自律神経 乱れ)が続く可能性があると考えられます。
自律神経が揺れやすい生活を、食から見直していく話はnoteにまとめています。
→ https://note.com/honest_rose9929
なお、こうした症状や状態が続く場合、または強い痛みがある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
なぜ冬の痛みは慢性化するのか——自律神経の蓄積疲労と身体の「固まり癖」
「冬だけの痛みだから春になれば自然に治る」——そう考えていたら、いつの間にか一年中痛みが続くようになった、という方が少なくありません。なぜ冬の痛みは慢性化しやすいのでしょうか。
「一次制限」と「代償の連鎖」という考え方
オステオパシーの視点では、身体に一つの制限(動きにくさ・緊張の固まり)が生じると、その制限を補おうとして周囲の組織が代償的に変化していくと考えます。この「制限→代償→代償の代償」という連鎖が積み重なることで、慢性的な症状の構造が形成されていく可能性があります。
冬の寒冷刺激による筋緊張を例に取ると、以下のような連鎖が考えられます。
- 寒冷刺激 → 肩・首・腰の筋緊張(一次制限)
- 筋緊張の持続 → 筋膜の硬化・関節の動きの制限
- 関節制限の代償 → 他の関節・筋肉への過剰負荷
- これらの積み重ね → 「どこが本当の原因かわからない」慢性痛の完成
この状態になると、「痛い場所」を直接ほぐしても変化が乏しいことがあります。なぜなら、痛みが出ている場所は「一次制限の場所」ではなく「代償として無理をしている場所」である可能性があるからです。
自律神経の「蓄積疲労」と慢性痛の関係
慢性疲労症候群(ME/CFS)の研究では、強い倦怠感・睡眠障害・自律神経の乱れが複合的に組み合わさることが報告されています。冬の体調不良が長引く背景にも、自律神経の乱れ 慢性痛という関係が関与している可能性があると考えられます。
当院の臨床経験では、「毎年冬になると決まって体が痛くなり、春になっても完全には回復しなくなってきた」と感じていらっしゃる患者さんが、つくば・龍ケ崎エリアにもいらっしゃいます。こうした方では、筋骨格系の緊張だけでなく、自律神経への蓄積的な負荷が関わっている可能性があると感じることがあります。これはあくまで当院の臨床的な傾向であり、医学的な診断ではありません。
身体の「固まり癖」は、一度形成されると無意識のうちに再現されやすくなります。冬ごとに同じ場所が痛くなるという方は、この「固まり癖」が定着している可能性があります。痛みの場所だけでなく、なぜその緊張パターンが繰り返されるのかという仕組みを理解することが、慢性化を防ぐための第一歩になると考えています。
また、日常的な体の使い方や姿勢・呼吸のパターンも、自律神経バランスに影響を与えている可能性があります。冬の体調不良(冬 体調不良 原因)を「寒さだから仕方ない」と放置せず、身体の構造・内臓・自律神経という複合的な視点からアプローチすることが、整体師としての私の基本的な考え方です。
まとめ
「寒いと体が痛い」のは、寒冷刺激への正常な生理的反応が積み重なった結果である可能性があります。交感神経の活性化・血管収縮・筋膜の硬化・内臓体性反射という複数の仕組みが連鎖することで、肩こり・腰痛・全身のこわばりが冬に悪化しやすくなると考えられます。さらにその状態が毎年繰り返されることで、「固まり癖」と自律神経の蓄積疲弊が慢性痛につながっていく可能性があります。冬の痛みを「季節のせい」で終わらせず、身体の仕組みを知ることが改善への入口になります。
参考文献
本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。
- Chronic Fatigue Syndrome(2026) PubMed
- Autonomic neuropathy after rubella infection(Med J Aust 1987) PubMed
よくある質問
Q. 寒いと体が痛くなるのはなぜですか?
A. 寒冷刺激によって交感神経が優位になり、血管が収縮して血流が低下します。その結果、筋肉や筋膜が硬直し、痛みを感じる閾値が下がることで、肩・腰・関節などに痛みが出やすくなります。
Q. 冬に肩こりや腰痛がひどくなるのはなぜですか?
A. 寒さによる筋緊張と交感神経の亢進が重なり、血流不足と筋膜の硬化が進むためです。特に茨城県内陸部の冬は冷え込みが強く、朝の起床時や屋外活動後に症状が悪化しやすい傾向があります。
Q. 自律神経の乱れが冬の体調不良に関係しているのですか?
A. はい、関係しています。寒冷刺激が続くと交感神経が慢性的に緊張し、副交感神経とのバランスが崩れます。この状態が長引くと体温調節・筋緊張・睡眠の質すべてに悪影響が及び、慢性的な体調不良につながります。
鈴木大樹(すずき だいき)
柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了
茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。
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