腰が重いのはおなかからかもしれない|腸と内臓が身体に出る仕組み

この記事は個人の体験談と参考書籍をもとにした健康情報です。医療的な診断・治療に代わるものではありません。持病のある方・服薬中の方は必ず主治医にご相談ください。

腰が痛くて来られた方に、おなかの調子を伺うことがあります。たいてい、少し不思議そうな顔をされます。腰の話をしていたはずなのに、なぜおなかの話になるのか、と。

ただ、実際に触っていると、おなかの硬さと、腰や背中のつらさが重なっている方が少なくありません。 そして、おなかがゆるんでくると腰が軽くなる、ということが起こります。

このページは、龍ケ崎で整体院をしている柔道整復師が、おなかと身体の他の場所とのつながりについて、一通り書いたものです。

整体師として、実際におなかを触って感じていること

ここからは、教科書ではなく、施術をしている中で感じていることを書きます。一般化できる話ではなく、あくまですーさん夫婦の龍ケ崎整体院に来られる方に多く見られる傾向です。

硬い場所と、お通じの傾向が対応することがあります

おなかを触っていると、硬さの出る場所が人によって違います。そして興味深いことに、その場所と、お通じの傾向が重なることが多いと感じています。

  • 大腸のあたりが硬い方は、便秘気味の方が多い
  • 小腸のあたりが硬い方は、下痢気味の方が多い

もちろん例外もありますし、これで何かを判断できるという話ではありません。ただ、おなかを触ってからお通じのことを伺うと、こちらが感じていた印象と合っていることが、しばしばあります。

ご本人は「昔からこうだから」と気にしていないことも多く、身体の不調と結びつけて考えていないケースがほとんどです。

おなかがゆるむと、腰が軽くなる方がいます

腰痛で来られた方のおなかにアプローチすると、腰が軽くなったとおっしゃる方が多くいらっしゃいます(個人差があります)。

腰そのものを触っていないのに変わる。これは施術をしていて何度も経験することで、正直に言えば、私自身が最初に驚いた部分でもあります。

腰痛の方の、下腹部の硬さ

腰痛で来られた方の身体を診ていて、小腸・大腸のあたり、いわゆる下腹部に特に硬さがあるとき、「これは腰そのものより、おなかから来ているかもしれない」と考えます。

ただ、これは「おなかが硬ければ全部おなかが原因」という単純な話ではありません。実際には、どこが本当の出どころなのかを見分けるための、細かい確かめ方があります。その見分け方については、noteで詳しく書いています。
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なぜ、おなかと腰がつながるのか

ここからは、身体の構造としての説明です。

おなかの中の臓器は、宙に浮いているわけではありません。腸は「腸間膜」という膜に包まれて吊られていて、その膜の付け根は、背骨の前側についています。

つまり、腸は背骨と物理的につながっています。膜が硬くなったり、引っ張られたりすれば、その力は背骨に伝わります。

加えて、おなかの中の圧力も関わります。体幹の安定は、背骨と筋肉だけで作られているのではなく、おなかの中の圧が一定に保たれることでも支えられています。 ガスが溜まる、動きが悪くなる、といった状態は、この圧の作られ方に影響することがあります。

腰だけを何度ゆるめても戻ってしまうとき、この経路が関わっていることがあります。

おなかの中の「圧」と、腰を守る仕組み

もう少し詳しく書きます。腰を支えているのは、背骨と筋肉だけではありません。おなかの中の圧が、内側から背骨を支える柱のような役割を果たしています。

この圧は、上の横隔膜、下の骨盤底、まわりのお腹の筋肉が同時に働くことで作られます。つまり、呼吸と腰の安定は同じ仕組みの一部です。息が浅くて横隔膜が動いていないと、この柱が作られにくくなります。

おなかが張っている、ガスが溜まりやすい、といった状態は、この圧の作られ方に影響することがあります。腰痛の方でおなかを診るのは、こうした理由もあります。

おなかの臓器は、それぞれ別の場所に症状を出します

「内臓」とひとくくりにしましたが、実際には臓器ごとに、つらさの出やすい場所が違います。これは臓器と、そこへ向かう神経の通り道が決まっているためです。

たとえば、右の肩や右の背中のつらさが、肝臓や胆のうのあたりと関わることがあります。胃の位置や姿勢が、みぞおちの詰まりや胸やけと結びつくこともあります。

だから「おなかを診る」というのは、お腹全体を漠然と触ることではなく、どこがどう影響しているかを見ていく作業になります。

おなかと、自律神経

おなかの動きは、私たちが意識して命令しているものではありません。食べたものをいつ、どのくらいの速さで送るかは、自律神経が決めています。

その中心にあるのが迷走神経です。脳から首を通り、胸を抜けて、おなかまで届いている長い神経で、身体を休息側に切り替える働きを担っています。

ここで大事なのは、この神経は「休んでいるとき」に消化を進める設計になっているということです。緊張が続いている状態では、身体は消化を後回しにします。おなかの不調が、食べたものだけでなく、生活の緊張度と結びつくのはこのためです。

おなかと、気分

腸には多くの神経細胞があり、脳からの指令がなくても自分で動くことができます。「第二の脳」と呼ばれる理由です。

そして脳と腸は、迷走神経を通じて情報をやりとりしています。興味深いのは、この行き来が脳から腸への一方通行ではなく、腸から脳へ向かう情報のほうがむしろ多いとされていることです。

「緊張するとおなかが痛くなる」は誰もが知っています。ただ、その逆——おなかの状態が気分に影響する経路も存在します。不安が続くときに、心だけでなくおなかを見る意味は、ここにあります。

おなかと、身体全体の炎症

腸のまわりには、免疫に関わる仕組みが集まっています。口から入ってくるものと身体の内側が接する場所なので、そこに見張り役が多いのは理にかなっています。

腸の壁は、必要なものを通し、そうでないものを通さないという仕分けをしています。この仕分けがうまくいかなくなると、身体の側が反応し、弱い炎症が続くことがあります。

この炎症は、おなかだけの話では終わりません。身体のあちこちで痛みを感じやすくなる状態につながることがある——というのが、私が食やおなかに関心を持っている理由のひとつです。

食べたものとの関係については、食べたものが痛み・こり・疲れに関わる理由 もあわせてお読みください。

こういうときは、医療機関へ

整体で様子を見てはいけない症状があります。 以下にあてはまる場合は、迷わず医療機関を受診してください。

  • 血便・黒い便が出た
  • 体重が意図せず減っている
  • 強い腹痛が続く、または夜間に痛みで目が覚める
  • 発熱をともなう腹痛
  • 吐き気・嘔吐が続く、飲み込みにくい
  • 便通の習慣が急に変わり、それが続いている(特に中高年以降)
  • おなかにしこりが触れる
  • 貧血を指摘されている

特に太字の2つは、必ず消化器内科で調べていただきたい項目です。整体はその代わりにはなりません。

また、過敏性腸症候群などの診断を受けている方は、主治医に診ていただくことを続けたうえで、身体の緊張を整える手段のひとつとして考えていただければと思います。

今日から意識できること

具体的な方法はnoteに譲りますが、方向性だけお伝えします。

ひとつ目は、食事の時間を空けること。 何を食べるかの前に、消化に使う時間を確保することです。次々に入ってくると、おなかは片づけに入れません。

ふたつ目は、食べるときに緊張していないか。 急いで食べる、画面を見ながら食べる、という状態では、身体は休息側に切り替わりません。同じものを食べても、条件が違います。

三つ目は、おなかを冷やさないこと。 地味ですが、冷えているときに調子を崩す方は実際に多いです。

消化を助ける食べ方や、腸と身体のつながりを掘り下げた内容は、noteで詳しく書いています。
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食べ合わせや消化については、こちらの記事もどうぞ。

よくいただく質問

Q. おなかを触る施術は痛くないですか

強く押し込むようなことはしません。おなかは繊細な場所なので、ゆっくり触れて様子を見る形になります。ただ、硬さが強い方は、触れられること自体に緊張されることがあります。無理には進めませんので、遠慮なくお伝えください。

Q. 便秘や下痢は、整体で変わりますか

「変わります」とは言えません。おなかまわりの緊張がゆるむことで、身体が動きやすくなる方はいらっしゃいます(個人差があります)。ただ、お通じは食事・水分・生活のリズム・薬など多くの要素で決まるものなので、整体だけで完結する話ではないと考えています。

Q. 腰痛なのに、おなかを触るのはなぜですか

腸は腸間膜という膜で背骨の前側につながっているためです。膜の張力や、おなかの中の圧の変化が、腰の安定に関わることがあります。もちろん腰そのものも診ます。おなかだけを診るわけではなく、両方を見たうえで、どちらがより関わっていそうかを確かめていきます。

Q. 過敏性腸症候群と診断されています。整体に行ってもいいですか

主治医に診ていただくことを続けるのが前提です。そのうえで、身体の緊張という側面から関われることはあると考えています。診断名がついている場合は、必ず主治医にご相談のうえでお越しください。

Q. 自分でおなかを揉んでもいいですか

強く押すのはおすすめしません。特に痛みがあるとき、原因が分かっていないときは避けてください。前述の「医療機関へ」の項目に当てはまらないことを確認するのが先です。

おわりに

おなかの不調は、多くの方が「昔からこうだから」と受け入れてしまっています。病院に行くほどではない、けれど気持ちよくもない——そういう状態が、何年も続いていることがあります。

ただ、身体を触っていると、おなかの状態と、腰や背中のつらさ、眠りの浅さ、気分の落ち込みやすさが、別々の問題には見えないことがあります。

気になったところの記事へ進んでみてください。


参考にした書籍

  • Netter FH『ネッター解剖学アトラス』
  • Barral JP『Visceral Manipulation(内臓マニピュレーション)』

免責事項:本記事は個人の体験談および一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断・治療に代わるものではありません。同様の効果を保証するものではありません。持病のある方・服薬中の方は生活習慣の変更前に必ず主治医にご相談ください。

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