片側だけ肩こりが強い原因|内臓の左右差が関係していた

肩こり
この記事は個人の体験談と参考書籍をもとにした健康情報です。医療的な診断・治療に代わるものではありません。持病のある方・服薬中の方は必ず主治医にご相談ください。

「なぜか右だけ、あるいは左だけ肩こりがひどい」という経験はありませんか。マッサージをしてもストレッチをしても、いつも同じ側だけ張り続ける——そんな悩みをお持ちの方は少なくありません。実は、肩こりの左右差には姿勢や筋肉の使い方だけでなく、肝臓・胃・脾臓といった内臓の位置と深い関係がある可能性があります。整体師・オステオパシーの視点から、その仕組みをひも解いていきます。

片側だけ肩こりが強い──それはなぜ「左右差」として現れるのか

肩こりの左右差を考えるとき、多くの方がまず「利き手だから」「仕事でパソコンを使うから」と考えます。もちろん、それも一因です。しかし、整体の現場では「そうした姿勢的な要因だけでは説明しにくい左右差」に出会うことが少なくありません。

私が施術を行う茨城・龍ケ崎の整体院でも、「右肩だけいつも張る」「左だけ首から肩にかけて重い」という方が来院されることがあります。お話を伺うと、必ずしも右利きというわけでもなく、仕事の姿勢も左右対称に近い、という場合があります。

「痛い場所」に原因があるとは限らない

オステオパシーの考え方の根底には、「痛みが出ている場所に必ずしも一次的な原因があるとは限らない」という視点があります。痛みや緊張は、身体のどこかで生じた制限や負荷が波及した結果として現れることがあるという考え方です。

筋膜(きんまく:筋肉や臓器を包む薄い膜状の結合組織)は全身をつながるネットワークを形成しており、ある部位の緊張が別の部位に張力として伝わることがあります。こうした筋膜連鎖の観点から見ると、肩の筋肉の緊張が、実は胸やお腹の奥にある臓器の動きの制限から来ている可能性も考えられます。

また、内臓の刺激が脊髄を介して体表の筋肉の緊張を引き起こす反射経路を内臓体性反射(ないぞうたいせいはんしゃ)と言います。これは生理学的に知られている仕組みであり、内臓の問題が肩や背中の筋肉の緊張として現れる可能性を示す根拠の一つとして、整体師やオステオパシーの世界では重視されています。

さらに、筋肉の中に生じた過敏な点であるトリガーポイントが、肩こりや頭痛の原因となる可能性が研究で示されています。こうした知見も踏まえると、片側にのみ繰り返すトリガーポイントの形成には、その側に偏った何らかの慢性的な負荷が関与している可能性が考えられます。

内臓には左右非対称がある|肝臓・胃・脾臓の位置と肩への影響

ここで重要なポイントをお伝えします。人間の内臓は、決して左右対称には配置されていません。この「内臓の左右非対称」こそが、肩こりの左右差を考えるうえで見逃せない視点です。

右側:肝臓と横隔膜のつながり

肝臓は体内で最も重い臓器のひとつで、右側の肋骨の下(右季肋部)に位置しています。この肝臓は、横隔膜(おうかくまく:胸腔と腹腔を隔てる呼吸の主役となる筋肉)と密接に接しています。

オステオパシーの臨床理論では、肝臓の可動性に制限が生じると、横隔膜を介して横隔神経(C3〜C5、横隔膜を支配する神経)への影響が生じる可能性があるとされています。横隔神経はその名の通り横隔膜を動かす神経ですが、頸椎の3〜5番付近から出ており、右肩や右頸部の症状と関連している可能性があると考えられています。

当院の臨床経験では、右肩の慢性的な重さや張りを訴える患者さんの中に、右肋骨下縁の緊張や肝臓周囲の可動性の低下が感じられるケースがあります(個人差があり、すべてに当てはまるわけではありません)。

左側:胃と脾臓のつながり

一方、左側には胃と脾臓(ひぞう)が位置しています。胃は横隔膜の直下に位置し、やはり横隔膜と密接な関係にあります。オステオパシーの臨床では、胃の可動性の問題が左前頭部の頭痛や左肩の重さと関連している可能性があるとされています。

また、内臓下垂(ないぞうかすい:内臓が本来の位置より下がった状態)が起きると、胃や脾臓を支える膜や筋膜に慢性的な引っ張りが生じ、左側の横隔膜や体幹左側の緊張につながる可能性があります。特に長時間の立ち仕事、出産後、体型の変化などによって内臓の位置が変化しやすい方では、こうした影響が出やすい可能性があると考えられています。

さらに、迷走神経(めいそうしんけい:内臓と脳をつなぐ主要な自律神経)は左右で走行が異なり、特に胃や食道周囲での分布に左右差があります。内臓の機能や位置の変化が迷走神経を介して自律神経系に影響し、肩周辺の筋肉の緊張パターンにも左右差をもたらす可能性があると、整体師目線では気になるポイントのひとつです。

こうした症状が長く続く場合や、強い痛みがある場合は自己判断せず、医療機関にご相談ください。

筋膜と内臓はつながっている|オステオパシーが見る「膜の連動」

「内臓と肩がつながる」と聞くと、不思議に感じる方も多いかもしれません。しかし、解剖学的に見ると、内臓と骨格構造は「膜」を介して途切れることなくつながっています。

漿膜・筋膜・横隔膜という「連動のルート」

内臓の表面は漿膜(しょうまく)という薄い膜で覆われており、その外側をさらに筋膜が包んでいます。Stecco(ステッコ)らによる筋膜研究では、この筋膜ネットワークが全身の力学的な連動に深く関与していることが示されています。内臓の可動性が変化すると、その臓器の回転軸がずれ、隣接する組織・骨格構造にまで張力が伝わる可能性があるとされています。

特に重要な「中継点」となるのが横隔膜です。横隔膜は呼吸のたびに上下に動く筋肉ですが、同時に肝臓・胃・脾臓・腎臓などと膜を通じて直接つながっています。横隔膜の動きが制限されると、それがそのまま頸椎や肩甲帯(肩まわり)への張力変化として波及する可能性があります。

また、肺や胸膜(肺を包む膜)の緊張が縦隔(じゅうかく:胸の真ん中の空間)を引っ張り、食道・胃の入口の機能に影響を与え、さらに横隔膜の動きを左右する——という連鎖も、オステオパシーの教科書的に示されている経路のひとつです。こうした「膜の連動」は一本の直線ではなく、立体的な網の目のようにつながっています。

施術の現場で感じる「膜のつながり」

オステオパシーの専門校での学びの中でも、また茨城・龍ケ崎での施術の現場でも、肩まわりへのアプローチだけでなく横隔膜や内臓周囲の膜の緊張にアプローチしたとき、肩の緊張が変化する場面があります。もちろん個人差は大きく、すべての方に同じ結果が出るわけではありませんが、「肩だけを見ない」という視点は、施術の視点が広がる感覚があります。

筋膜リリース技術を用いることで肩関節の痛みや可動域制限が改善される可能性があるという報告もあり、こうした筋膜へのアプローチは、片側の肩こりにも役立つ可能性があると考えられます。

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整体師として片側肩こりをどう捉えるか|根本から考えるアプローチの視点

ここまで、肝臓・胃・脾臓といった内臓の位置と、筋膜・横隔膜を介した肩への影響の仕組みをお伝えしてきました。整体師・オステオパシーの視点からまとめると、片側だけの肩こりを考えるときには次のような観点が関係している可能性があります。

  • 右肩こりの場合:肝臓・胆嚢の可動性、右横隔膜の動き、横隔神経(C3〜C5)への影響
  • 左肩こりの場合:胃・脾臓の可動性、左横隔膜の動き、迷走神経への影響
  • 両側に共通:内臓体性反射による筋緊張の左右差、筋膜連鎖による張力の偏り、内臓下垂による膜の慢性的な引っ張り

「なぜそこだけ」を問う整体師目線

オステオパシーの病変連鎖の考え方では、「最初に生じた制限が隣接するすべての構造に影響を波及させ、さらにその代償が連鎖する」という見方をします。つまり、肩こりとして感じている場所は「最終的な結果」であり、一次的な原因は別の場所にある可能性があるということです。

当院の臨床経験では、長年片側だけ肩こりが続いている患者さんの中に、腹部(特に右季肋部や胃部)の緊張・可動性の変化を感じるケースがあります。もちろんこれはすべての方に当てはまるわけではなく、あくまで「そういう傾向を感じることがある」という臨床上の一印象です。医学的事実として断言できるものではありません。

アプローチの方向性としては、肩まわりの筋肉への直接的なアプローチに加え、横隔膜の動きの改善、内臓周囲の膜の緊張へのアプローチ、自律神経(迷走神経)への働きかけなど、複数の視点を組み合わせることが、片側肩こりの根本を探るうえで参考になる場合があります。

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龍ケ崎・茨城でお悩みの方へ

「ずっと同じ側だけ肩こりが続いている」「マッサージをしてもすぐ戻る」という方は、筋肉だけでなく内臓・横隔膜・筋膜という視点を一度取り入れてみることが、糸口になる場合があります。龍ケ崎・茨城近辺でこうした悩みをお持ちの方は、当院へのご相談もお気軽にどうぞ。もちろん、強い痛みや他の症状を伴う場合は、まず医療機関での受診をおすすめします。

また、食生活や生活習慣が内臓の機能や位置に影響することも、整体師として日々感じているところです。食と身体のつながりについては、有料コンテンツシリーズで整体師の実体験とともに詳しく書いています。
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まとめ

片側だけ肩こりが強い原因には、姿勢や筋肉の使い方だけでなく、肝臓・胃・脾臓といった内臓の左右非対称な配置、横隔膜を介した筋膜連鎖、内臓体性反射が関与している可能性があります。「なぜいつも同じ側か」という問いの答えは、肩の外ではなく、身体の内側の構造的な連動の中に隠れている場合があります。整体師・オステオパシーの視点は、その「内側の仕組み」を探るための一つの手がかりになると考えています。症状が続く場合は、自己判断せず医療機関にもご相談ください。

免責事項:本記事は個人の体験談および一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断・治療に代わるものではありません。同様の効果を保証するものではありません。持病のある方・服薬中の方は生活習慣の変更前に必ず主治医にご相談ください。

参考文献

本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。

  1. Effectiveness of Myofascial Release Compared to Manual Lymphatic Drainage in Reducing Post-Treatment Shoulder Pain and Stiffness Among Patients Who Underwent Breast Cancer Surgery and Adjuvant Radiotherapy: Randomised controlled trial(Sultan Qaboos Univ Med J 2025) PubMed
  2. Myofascial triggerpoint release (MTR) for treating chronic shoulder pain: A novel approach(J Bodyw Mov Ther 2016) PubMed

よくある質問

Q. 左肩だけこるのは内臓が原因ですか?

A. 左肩こりには、胃や脾臓・膵臓といった左側に位置する内臓の緊張や機能低下が反射的に影響している可能性があります。内臓体性反射という仕組みで筋肉が緊張することがあります。

Q. 右肩こりが強いのは肝臓と関係がありますか?

A. 肝臓は体の右側に位置し、その緊張や過負荷が横隔膜を介して右肩まわりの筋膜に影響することがあります。右だけ肩こりが強い場合、肝臓や胆嚢の状態を考える視点は整体師の間でも重視されています。

Q. 片側だけ肩こりがひどいのは病気のサインですか?

A. 必ずしも病気とは限りませんが、左肩の激しい痛みは心臓、右肩の痛みは胆嚢・肝臓との関連が指摘される場合もあります。急激な痛みや他の症状を伴う場合は医療機関への受診をおすすめします。

鈴木大樹

鈴木大樹(すずき だいき)

柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了

茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。

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