手足のしびれとふらつき|ビタミンB12と神経の関係

自然療法
この記事は個人の体験談と参考書籍をもとにした健康情報です。医療的な診断・治療に代わるものではありません。持病のある方・服薬中の方は必ず主治医にご相談ください。

手足のしびれ、感覚の鈍さ、ふらつき、歩きにくさ。整体やセルフケアをいろいろ探しても、原因がはっきりしないまま時間だけが過ぎていく——そんなご相談をいただくことがあります。実はこうしたとき、神経そのものの「材料」が足りていない可能性も考えられます。研究では、ビタミンB12不足が手足のしびれやふらつきといった神経症状、さらには抑うつ・不安・記憶力の低下と関連すると報告されています。整体師の視点から、身体の構造と栄養の両面でこの症状を読み解いていきます。

手足のしびれとふらつきを「姿勢のせい」だけで片づけられないとき

しびれというと、まず思い浮かぶのは首や腰からくる神経の圧迫、あるいは手首や肘の通り道での絞扼でしょう。実際、施術の現場でも、頸椎まわりや胸郭の出口、骨盤の傾きが関わっていると考えられるケースは多くあります。

ただ、次のような特徴があるとき、構造の問題だけでは説明がつきにくくなります。

  • しびれが左右両方の手足に、しかも先端から対称的に出ている
  • 姿勢を変えても、寝ても、しびれ方があまり変わらない
  • 暗い場所や目を閉じたときに、ふらつきが強くなる
  • 足の裏の感覚が「厚い靴下を履いているよう」で、歩幅がつかみにくい
  • 物忘れが増えた、気分が落ち込みやすいといった変化も重なっている

末梢神経障害(手足の末端の神経が働きにくくなる状態)が全身に広がるように起きているとき、その背景に栄養の問題が隠れていることがあります。とくに深部感覚とバランス——自分の関節がいまどの角度にあるかを脳に伝える感覚——が鈍ると、目で補えない場面でふらつきが目立ちます。閉眼で立つと急に不安定になる方は、筋力よりも「情報が届いているか」を疑う必要があると考えられます。

茨城県龍ケ崎市で施術をしていると、高齢のご家族の付き添いで来られた方から「歩き方が変わってきた」と相談されることもあります。加齢や運動不足だけに結びつけず、別の可能性も並べて考えたい場面です。

しびれはなぜ起きるのか|神経を包む鞘とビタミンB12の役割

ミエリン鞘は「電線の被覆」にあたる

神経は電気信号を伝える線のようなもので、その多くはミエリン鞘(髄鞘)という脂質の層で包まれています。電線の被覆と同じで、この層があることで信号が速く、正確に伝わります。被覆が傷むと、信号が漏れたり遅れたりして、「ジンジンする」「感覚が鈍い」「力が入りにくい」といった形で表に出てきます。

ビタミンB12は、このミエリン鞘を維持する代謝に関わる栄養素として知られています。同時に、赤血球が正常につくられる過程にも必要で、不足すると巨赤芽球性貧血(赤血球が大きく未熟なまま育つタイプの貧血)が起きることがあります。ただし注意したいのは、貧血が目立たなくても神経症状が先に出る場合があるという点です。血色がいいから大丈夫、とは言い切れません。

ふらつきは「脊髄の後ろ側」の話でもある

B12が長く足りない状態では、脊髄の後索とよばれる通り道が影響を受けることが知られています。ここは位置覚や振動覚といった深部感覚を脳へ運ぶルートです。後索の感覚障害が起きると、足裏や関節からの情報が届きにくくなり、結果として歩行が不安定になります。筋力は保たれているのに歩きにくい、という状態が生まれるのはこのためです。

さらに研究では、ビタミンB12不足が抑うつや不安、記憶力の低下といった精神面の変化とも関連すると報告されています。「しびれ」「ふらつき」「物忘れ」「気分の落ち込み」が同時期に重なっているなら、別々の出来事として扱わずに一度まとめて相談する価値があります。

胃腸・高齢・食生活・薬|B12が足りなくなる身体側の理由

ビタミンB12は、口から入れば自動的に吸収されるわけではありません。ここが他の栄養素と違うところです。

吸収には胃が関わっている

B12は胃の粘膜から分泌される内因子というタンパク質と結合して、はじめて小腸の終わり(回腸)から取り込まれます。つまり内因子と胃粘膜の状態が、吸収の可否をほぼ決めているわけです。研究では、次のような背景が不足の要因になり得ると示されています。

  • 胃や腸の手術歴——胃の切除や減量手術で内因子の分泌や吸収部位が減る
  • 高齢——胃粘膜の萎縮により胃酸・内因子が減りやすい
  • 菜食中心の食生活——B12は主に動物性食品に含まれるため、供給が細くなる
  • 一部の薬の長期使用——胃酸を抑える薬などが吸収に影響することが報告されている

オステオパシーの内臓の見方でも、胃は横隔膜のすぐ下で動き、腹膜を介して周囲とつながっています。開腹手術のあとは腹膜の癒着が生じやすく、腸の動きや通過に影響が及ぶことがあると考えられています。手術歴のある方の不調を考えるとき、構造の癒着と吸収の問題は地続きの話だと感じています。

私自身、平日はほぼ植物中心の食事、週末は肉や刺身も食べるというゆるいスタイルです。食を変えてから体調の手応えが変わった感覚はありますが、同時に「植物中心に寄せるならB12の供給をどう確保するか」は必ず考えておくべきテーマだと思っています。自己判断でサプリを足す前に、血液検査で現状を確認するのが順序として安心です。

しびれ・ふらつき・歩きにくさが続く場合、また急に悪化する場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。B12の状態は採血で確認できる項目です。

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整体師が身体を診るとき、構造と栄養の両方を並べて考える理由

すーさん夫婦の龍ケ崎整体院では、BODY(構造・内臓・頭蓋)× MIND(食事・自然療法)× SPIRIT(全体性)という三つの軸で身体を見ています。手技で扱えるのは構造や循環の部分ですが、神経の材料そのものが不足している場合、そこは手技の外側にあります。両方を机の上に並べておかないと、判断を誤ると考えています。

これまで診てきた範囲では、胃腸の手術を受けた方、長く薬を服用している方、食が細くなった高齢の方で、しびれや足元の不安定さが「姿勢の指導だけでは変化を追いづらい」と感じる場面があります。あくまで施術の現場で感じている傾向で、医学的な因果として言えることではありません。それでも、こうした背景をお持ちの方には「一度、血液検査で栄養の状態も確認してみませんか」とお伝えするようにしています。

整体でできること・できないこと

できることは、しびれの出方や感覚の分布を丁寧に確認し、頸椎・胸郭・骨盤・横隔膜まわりなど、関係していると考えられる部位もあわせて整えていくことです。痛いところだけで終わらせず、内臓の可動性や呼吸の入り方も含めて全体を確認します。施術は約45分、圧の強さは組織の反応を見ながら調整します。

一方で、栄養状態の判断や治療は医療機関の領域です。線を引いたうえで、必要な方には受診をおすすめするのが、私たちが大切にしている姿勢です。茨城の地域柄、農作業や立ち仕事で足を使う方も多く、「年のせい」で片づけられてしまいがちな症状だからこそ、選択肢を増やしておきたいと思っています。

セルフケアの具体的な方法は、noteの記事で詳しく解説しています。
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まとめ

手足のしびれ、感覚の鈍さ、ふらつき、歩きにくさ。これらは姿勢や筋肉だけでなく、神経を包むミエリン鞘や脊髄後索の働きに関わる栄養状態が背景にある場合があります。研究ではビタミンB12不足がこうした神経症状や、抑うつ・不安・記憶力の低下と関連すると報告されています。胃腸の手術歴、高齢、菜食中心の食生活、一部の薬の長期使用に心当たりがあるなら、構造へのアプローチと並行して、一度医療機関で確認してみてください。

免責事項:本記事は個人の体験談および一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断・治療に代わるものではありません。同様の効果を保証するものではありません。持病のある方・服薬中の方は生活習慣の変更前に必ず主治医にご相談ください。

参考文献

本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。

  1. Vitamin B12 Deficiency: Recognition and Management(Am Fam Physician 2017) PubMed
  2. Neuropsychiatric manifestations in vitamin B12 deficiency(Vitam Horm 2022) PubMed
  3. Subacute Combined Degeneration of the Spinal Cord (Archived)(2024) PubMed
  4. Comparative study of subacute combined degeneration of the spinal cord due to nitrous oxide abuse and vitamin B12 deficiency(Front Immunol 2025) PubMed

よくある質問

Q. ビタミンB12が足りないと、どんなしびれ方をしますか?

A. 研究では手足の先から左右対称に出る感覚の鈍さやしびれ、ふらつき、歩きにくさ、筋力低下などが報告されています。片側だけに強く出る場合は別の要因も考えられるため、医療機関でのご相談をおすすめします。

Q. 胃の手術を受けたことがあると、しびれが出やすいのですか?

A. 胃ではビタミンB12の吸収に必要な物質がつくられるため、胃腸の手術歴がある方はB12が不足しやすいと指摘されています。年月が経ってから症状が出ることもあるので、気になる場合は主治医に相談してみてください。

Q. しびれと一緒に物忘れや気分の落ち込みがあるのは関係ありますか?

A. ビタミンB12不足は抑うつや不安、記憶力の低下といった精神面の変化と関連するという報告があります。身体の症状と心の変化が同時期に重なっているときは、一度医療機関で血液検査を含めた相談をされると安心です。

鈴木大樹

鈴木大樹(すずき だいき)

柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了

茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。

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