運動はしている、食事も気をつけている。それなのに日中のだるさが抜けず、立ち上がるときにクラッとする——。この状態を「体質」や「年齢」で片づける前に、確認したい視点が2つあります。食べる量が動く量に見合っているかという「エネルギー利用可能性」と、身体の調子を自動で合わせている自律神経の調整状態です。研究で報告されている範囲に限って、整体師の視点から身体の仕組みを読み解いていきます。
だるさを「体質」で片づける前に見たい2つの視点
「もともと疲れやすいタイプだから」。そう言いながら来院される方は少なくありません。ただ、話を聞いていくと、生活の中に共通する輪郭が浮かんでくることがあります。
- 週に数回のランニングや筋トレを続けている
- 体型を保ちたくて、炭水化物や食事量を控えめにしている
- 朝は食べない、昼は軽く済ませることが多い
- 夕方になると集中力が落ち、記録やタイムも伸び悩んでいる
- しゃがんで立ち上がるとき、数秒クラッとする
これは体質というより、「入ってくるエネルギー」と「出ていくエネルギー」の差と、その差に身体が合わせようとした結果として眺めたほうが、仕組みを理解しやすい場合があります。
前者はスポーツ栄養の領域で「低エネルギー利用可能性」と呼ばれる考え方です。食事で摂ったエネルギーから運動で使った分を引き、残りが日常の生命活動にどれだけ回せるか、という見方をします。後者は、交感神経と副交感神経のバランス、つまり身体の自動調整の問題です。
この2つは別々のものではなく、互いに影響し合う関係にあります。燃料の総量が足りない状態が続けば、身体は優先順位をつけて配分を変えようとしますし、その配分の指示を出しているのが自律神経だからです。茨城県龍ケ崎市で整体をしていても、だるさの相談は季節を問わず多く、生活の背景を一緒に見ていくと、この2つの視点のどちらかに引っかかる方がいます。
食べる量が動く量に見合わないとき、身体の中で何が起きているか
研究では、エネルギー摂取が消費に見合わない低エネルギー利用可能性の状態が、回復や適応を妨げ、疲労感やパフォーマンス低下につながることが報告されています。とくに男性の持久系アスリートを対象としたレビューでは、内分泌(ホルモン)や代謝、骨、そして運動能力といった複数の側面に影響が及びうることがまとめられています。ここで大切なのは、これが「よく運動する人を対象に調べられた話」だという点です。一般の方にそのまま当てはめて語ることはできません。
身体は「足りない」とき、節約モードに入る
燃料が足りないとき、身体は心臓や脳といった生命維持に直結する働きを優先します。後回しにされやすいのは、組織の修復、免疫、ホルモンの分泌、そして体温の維持といった「今日すぐ死なない」機能です。
すると、こんな順番で感覚が変わっていくことがあります。
- トレーニング後の回復が遅くなる(翌日まで重さが残る)
- 手足が冷える、寝つきが浅くなる
- 日中のだるさが抜けず、食事量に対してパフォーマンス低下を自覚する
- 気分の波が出やすくなり、やる気が続かない
食事量を抑えているのにパフォーマンスだけ維持しようとすると、この差は開いていきます。「頑張っているのに結果が落ちる」という感覚の裏側には、こうしたエネルギー配分の変化が関わっていると考えられます。
血糖の揺れと気分の関係
もう一つ、エネルギーの「総量」だけでなく「入り方のリズム」も関係します。1型糖尿病の人を対象とした研究では、血糖の変動と気分の状態に関連が報告されています。これも対象が限定された研究であり、健康な方の日常の血糖の揺れに直接当てはめられるものではありません。ただ、「身体に届く燃料の量が短時間で大きく上下すると、感じ方の側にも影響しうる」という視点は、朝食を抜いて夕方にどっと食べる生活を振り返るきっかけにはなります。
立ちくらみ・疲労感と自律神経の調整——整体師が触れて感じる身体の反応
立ち上がったときのふらつきは、重力に対して血圧を保つ仕組みが一瞬追いつかないときに起こります。横になった状態から立つと、血液は下半身に移動します。これを感知して心拍や血管の緊張を即座に調整するのが自律神経の役割です。自律神経の調整がうまくいかない状態では、慢性的な疲労や立ちくらみといった不調が報告されています。
施術の現場では、こうした訴えのある方の身体に、いくつか共通して感じる反応があります。あくまで触れて感じている傾向で、医学的に確定した所見ではありません。
- 呼吸が浅く、横隔膜の上下の動きが小さい
- みぞおちから肋骨の下縁にかけて、面として硬さがある
- 後頭部と首のつけ根が詰まった感じで、背中が反り気味に固定されている
- 仰向けで休んでいても、身体が「待機状態」から降りてこない
横隔膜は呼吸の主役であると同時に、肝臓や胃、腎臓といった臓器と膜で連続しています。腎臓は1回の呼吸で数センチ動くとされ、1日に積み重ねれば相当な移動距離になります。この動きが小さくなると、周囲の循環や神経の通り道にも負担が増えている可能性があります。
オステオパシーの考え方では、こうした部位の可動性をていねいに確認し、過敏な部分には痛みを出さない程度のごく軽い圧で数十秒から1〜2分ほど静かに触れる、といった手技を用います。痛むところだけで終わらせず、関係していると考えられる部位もあわせて確認する——これが整体師としての基本姿勢です。交感神経と副交感神経のバランスが整いやすくなる場合があります、という言い方にとどめておくのが誠実だと考えています。
なお、立ちくらみに加えて失神、動悸、強い頭痛、発熱、体重の急な減少などがある場合や、だるさが長く続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。貧血や甲状腺、血圧の問題など、医学的な評価が先に必要な背景もあります。
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BODY・MIND・SPIRITの三軸で、慢性的なだるさをどう読み解くか
私が大切にしているのは、BODY(構造・内臓・頭蓋)、MIND(食事・自然療法)、SPIRIT(全体性)の三軸で身体を眺めることです。だるさというテーマは、この三軸が一番わかりやすく重なる場所だと感じています。
BODY:動きの余地を確認する
呼吸の深さ、肋骨と横隔膜の動き、骨盤と背骨のつながり。だるさを訴える方では、構造としての「動ける余地」が小さくなっていることがあります。肝臓の動きが制限されると右肩や右の頭部に症状が出やすい、といった臨床上のつながりも知られており、見る範囲を広げる手がかりになります。
MIND:食べ方という情報
何をどれだけ、どのタイミングで食べているか。これは身体にとって情報そのものです。私自身、平日はほぼ植物中心、週末はBBQや刺身も食べるというゆるいスタイルに変えてから、体調の波が穏やかになった感覚があります(個人の体験です)。具体的な実践の中身は、noteに書いています。
SPIRIT:何のために動いているのか
「痩せたいから食べない」「結果を出したいから走る」。その動機が強いほど、身体からの小さなサインは後回しになりがちです。だるさは、配分を見直すタイミングを知らせているサインとして受け取ることもできます。
すーさん夫婦の龍ケ崎整体院では、柔道整復師の夫婦2人で、1回約45分の施術を行っています。これまで診てきた範囲では、運動量に対して食事量が控えめな方ほど、施術後の身体の戻りが早い印象があります。龍ケ崎郵便局から徒歩2分、完全予約制です。
まとめ:慢性的なだるさを「体質」で片づける前に、食べる量が動く量に見合っているかという低エネルギー利用可能性の視点と、自律神経の調整状態という2つの視点があります。研究で報告されているのはそれぞれ限られた対象でのことですが、自分の生活を振り返る軸にはなります。気になる症状が続くときは医療機関での確認を優先し、そのうえで身体の使い方を整えていく——その順番が安心につながると考えています。
参考文献
本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。
- Hungry runners – low energy availability in male endurance athletes and its impact on performance and testosterone: mini-review(Eur J Transl Myol 2023) PubMed
- Citrin Deficiency(1993) PubMed
- Dysautonomia: A Forgotten Condition – Part 1(Arq Bras Cardiol 2021) PubMed
- Glucose variability and mood in people with type 1 diabetes using ecological momentary assessment(J Psychosom Res 2023) PubMed
よくある質問
Q. 運動しているのに疲れが取れないのはなぜですか?
A. 研究では、運動量に対してエネルギー摂取が追いつかない状態(低エネルギー利用可能性)が回復や適応を妨げ、疲労感やパフォーマンス低下につながると報告されています。休養だけでなく、食べる量と動く量の釣り合いという視点も検討材料になります。
Q. 立ちくらみが続くのは自律神経と関係がありますか?
A. 自律神経の調整がうまくいかない状態では、慢性的な疲労や立ちくらみといった不調が報告されています。ただし立ちくらみには他の要因も関わるため、続く場合はまず医療機関で相談されることをおすすめします。
Q. 食事を減らすと日中の気分まで落ちるのはなぜですか?
A. 1型糖尿病の方を対象にした研究では、血糖の変動と気分の変化に関連が報告されています。対象が限定された知見ですが、エネルギーの安定供給が心身の状態に関わる可能性を示す一例として参考になります。

鈴木大樹(すずき だいき)
柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了
茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。
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📍 茨城県龍ケ崎市愛戸町58-2(龍ケ崎郵便局から徒歩2分)
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