背中が痛い右肩甲骨下——整体師が解説する本当の原因

肩こり

この記事は個人の体験談と参考書籍をもとにした健康情報です。医療的な診断・治療に代わるものではありません。持病のある方・服薬中の方は必ず主治医にご相談ください。

「背中の右側、肩甲骨の下あたりがズキズキする」「デスクワーク中に鈍痛が続いて集中できない」——そんな悩みを抱えて検索にたどり着いた方へ。この痛みは、筋肉だけの問題ではなく、筋膜・内臓・自律神経が複雑に絡み合って生じているケースが少なくないと考えられます。柔道整復師としてデイリーに施術を行い、現在はオステオパシーの専門校でさらに学びを深めている私が、「なぜ右肩甲骨の下に痛みが集まるのか」をできるだけ丁寧に解き明かしていきます。

「右肩甲骨の下が痛い」——その感覚、どこからきているのか

痛みを感じる「場所」と「原因の場所」はずれることがある

痛みというのは、必ずしもその場所に原因があるわけではありません。神経科学の言葉でいえば、「関連痛(referred pain)」と呼ばれる現象があり、実際に障害を受けている組織とは離れた場所で痛みとして感じることがあります。右肩甲骨の下というエリアは、この関連痛が出やすい代表的な部位のひとつと考えられています。

では、どんな「入力源」がこのエリアに痛みを生じさせる可能性があるのでしょうか。大きく分けると、以下のような経路が考えられます。

  • 筋肉・筋膜由来:菱形筋(りょうけいきん)や僧帽筋下部、前鋸筋などの過緊張や、筋膜内のトリガーポイント(筋肉内にできる圧痛点)からの関連痛
  • 脊椎・肋骨由来:胸椎(背骨の胸の部分)の関節制限や、肋骨と脊椎の接合部(肋椎関節)のこわばり
  • 内臓由来:横隔膜の下に位置する肝臓・胆嚢が、横隔神経や自律神経を介して背中に痛みを反射させる「内臓体性反射」のルート

当院(龍ケ崎の整体院)の施術の現場では、「右肩甲骨の下が痛い」と来院される患者さんの多くが、複数の原因が重なっている印象があります。特に長時間のデスクワークや前傾姿勢が続くライフスタイルの方では、筋膜の問題と内臓負荷が同時に起きている可能性を感じることが少なくありません(あくまで当院の臨床経験としての印象であり、医学的事実として断言するものではありません)。

「鈍痛」と「鋭い痛み」で原因の傾向が変わることがある

感覚の質も、原因の手がかりになります。筋肉・筋膜由来の痛みは、圧を加えると再現されたり、特定の姿勢で増減したりすることが多い傾向があります。一方、内臓由来の関連痛は、体勢に関係なくじわじわと続く鈍痛として現れることがあり、食後や深呼吸のタイミングで変化する場合もあります。もちろん個人差があり、断言できるものではありませんが、「いつ痛むか」「何をすると変わるか」を観察することが、原因を絞り込む第一歩になります。

なお、強い痛みが突然始まった場合や、発熱・黄疸・体重減少などを伴う場合は、内科的な疾患が背景にある可能性があります。こうした症状が続く場合や強い痛みがある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

解剖学と筋膜から読み解く:なぜ右の肩甲骨下に痛みが集まるのか

菱形筋とトリガーポイントの関係

右肩甲骨の内側から下角にかけて走る菱形筋は、肩甲骨を脊椎に引き寄せる役割を持つ筋肉です。長時間のパソコン作業や前傾姿勢が続くと、この筋肉は引き伸ばされたまま緊張を強いられます。引き伸ばされながら力を出し続ける状態は筋肉にとって大きな負担となり、やがて筋膜内にトリガーポイント(局所的な過敏点)が形成される可能性があります。

研究では、肩や首まわりの筋膜に存在するトリガーポイントが、肩こりや背部の慢性的な不快感の一因となる可能性が示されています。また、筋膜リリースの技術を用いたアプローチが、肩まわりの痛みや動きの制限を改善する可能性があるという報告も存在しています。こうした知見は、筋膜へのアプローチが慢性的な背部の不調に対して選択肢のひとつとなり得ることを示しているといえるかもしれません。

筋膜のつながりが「なぜ右なのか」を説明することがある

身体の筋膜はひとつながりの膜系として全身を包んでいます(Stecco理論などで体系化されています)。右の肩甲骨まわりの筋膜は、胸郭の右側を包む筋膜、さらに横隔膜上面に連なる筋膜と連続しています。つまり、横隔膜の動きが制限されると、その張力が筋膜を通じて上方の肩甲骨周囲まで伝わる可能性があるのです。

横隔膜は呼吸を司る最も重要な筋肉ですが、同時に内臓を仕切る膜としての役割も担っています。横隔膜の下面には肝臓が接しており、横隔膜の動きと肝臓の動きは密接に関連しています。右側の横隔膜が何らかの理由で動きにくくなると、右肩甲骨下の筋膜系にも張力の変化が生じる可能性があります。これが「なぜ左ではなく右なのか」という疑問への、解剖学的なひとつの答えになるかもしれません。

また、胸椎(特にT4〜T8あたり)の肋椎関節が制限されると、その高さの肋骨に沿って走る神経や筋膜が引っ張られ、肩甲骨周囲の痛みとして感じられることがあります。背中 右側 痛い 原因を考えるときに、脊椎の関節の動きを評価することも欠かせない視点です。

内臓と筋膜の連動——整体師・オステオパシー目線で見える「もうひとつの原因」

肝臓・胆嚢が右肩甲骨下の痛みと関係する可能性

オステオパシーや内臓マニピュレーションの分野では、内臓体性反射(内臓の刺激が筋肉・皮膚・骨格系の症状として現れる仕組み)が重要な概念として扱われています。内臓は自律神経を通じて脊椎の特定の高さとつながっており、その内臓が過負荷になると、対応する脊椎レベルの筋肉に緊張や過敏性が生じることがあると考えられています。

特に注目したいのが、肝臓と胆嚢です。肝臓は横隔膜の真下、右季肋部(右あばら骨の下)に位置する最大の内臓で、横隔膜と密接に接しています。オステオパシーの視点では、肝臓の動きに制限が生じると横隔膜への連結を通じて横隔神経(C3〜C5)に影響が及び、右肩部や右肩甲骨周囲に関連した症状が出ることがある、と考えられています(これはオステオパシーの臨床的な考え方であり、医学的に確立された事実とは異なります)。

胆嚢についても同様で、胆嚢の機能的な問題が右肩や右背部の痛みとして現れることがある、という臨床的な報告は古くから存在しています。「肩甲骨 痛み 内臓」というキーワードで検索される方が多いのは、こうした身体のつながりを直感的に感じている方が多いからかもしれません。

自律神経と内臓——慢性的な鈍痛の背景にあるもの

現代社会における慢性的な右背部の鈍痛の多くは、単純な「使いすぎ」や「姿勢の悪さ」だけでは説明しきれないケースがあります。自律神経と内臓の状態が、筋膜や骨格系の緊張パターンに影響を与えている可能性があるからです。

たとえば、慢性的なストレスや睡眠不足、食生活の乱れは、肝臓や消化器系への負担を増やす可能性があります。その負担が内臓体性反射を通じて背部の筋肉に緊張を生じさせ、そこにトリガーポイントが形成されて慢性的な「背中 右 鈍痛」へとつながる——こういった連鎖が起きている可能性があります。

茨城・龍ケ崎の当院の施術の現場でも、「病院でレントゲンを撮っても異常なし、でも痛みが続く」という患者さんに、こうした内臓と筋膜の連動というアプローチの視点を加えることで、施術の見立てが変わることがあります(当院の臨床経験による印象です)。

身体をひとつのつながりとして見る——その視点は、noteにも詳しくまとめています。
https://note.com/honest_rose9929

整体師として、この痛みにどう向き合うか——構造・内臓・全体性の三軸で考える

「痛い場所」だけを診ない——一次制限を探す視点

オステオパシーの考え方に「病変連鎖」という概念があります。一つの制限(動きの悪さ)は、隣接するすべての構造に障害を波及させていく、という考え方です。つまり、右肩甲骨の下が痛むとき、「そこが最初に問題を起こした場所(一次制限)」である可能性と、「別の場所の一次制限が波及してきた結果」である可能性の両方を考える必要があります。

痛い場所だけをほぐしても変化が乏しいとき、それは往々にして「一次制限が別の場所にある」サインである可能性があります。私自身がオステオパシーの専門校で学んで最も印象に残っているのは、この「痛みの場所と原因の場所はずれることがある」という原則です。肩甲骨 下 痛み 整体のアプローチとして、整体師が「なぜそこが痛むのか」を全身の文脈で読もうとするのは、こうした理由があると考えられます。

構造・内臓・全体性——三軸でアプローチする理由

私の施術哲学は、BODY(構造・内臓・頭蓋)× MIND(食事・自然療法)× SPIRIT(全体性)という三軸で身体を見ることにあります。右肩甲骨下の痛みを例にとると、以下のような見立てが考えられます。

  • 構造軸:菱形筋・前鋸筋のトリガーポイント、胸椎・肋椎関節の制限、横隔膜の可動性
  • 内臓軸:肝臓・胆嚢の機能的状態、横隔膜との連動、内臓体性反射のパターン
  • 全体性の軸:睡眠・食習慣・ストレスパターン、自律神経の状態、生活リズム全体

この三軸を同時に評価することで、「なぜこの患者さんにこの痛みが出ているのか」という仮説が立てやすくなります。そして仮説に基づいてアプローチの優先順位を決めることが、慢性的な右背部の鈍痛に向き合うときの基本姿勢だと考えています。

また、食事や生活習慣が内臓の機能を通じて筋膜・骨格系に影響しているという視点は、セルフケアの方向性を考えるうえでも重要です。ただし、具体的な実践手順については、noteで整体師の実体験とともに詳しく書いています。
https://note.com/honest_rose9929

「異常なし」と言われたあなたへ

病院でレントゲンやMRIを撮っても「異常なし」と言われたのに、右肩甲骨の下の鈍痛が続く——そういう方の多くは、画像に写らない「機能的な制限」や「筋膜・内臓の連動パターン」が背景にある可能性があります。これは「気のせい」でも「精神的なもの」でもなく、現在の標準的な画像診断では捉えきれない身体の情報が存在しているということです。

整体師・柔道整復師の視点、そしてオステオパシーが大切にしてきた「全体としての身体」という見方が、こうした方々の手がかりになることがあると感じています。もちろん、すべての痛みに整体的なアプローチが適切というわけではなく、内科的・外科的な評価が必要なケースも当然あります。繰り返しになりますが、強い痛みや体調の変化を伴う場合は、まず医療機関への受診をご検討ください。

「背中 右側 痛い 原因」「肩甲骨 下 痛み 右」——これらの言葉で検索している方が、この記事を通じて「自分の身体に何が起きているかもしれないか」を少しでも理解する助けになれれば、整体師としてこれ以上嬉しいことはありません。

右肩甲骨下の痛みは、筋肉だけの問題ではなく、筋膜・内臓・自律神経が複雑に絡み合っている可能性があります。菱形筋や横隔膜の筋膜連動、肝臓・胆嚢からの内臓体性反射、自律神経の状態——これらを「全体としてひとつながりの身体」として見ることが、慢性的な右背部の鈍痛を読み解くうえでの出発点になると考えています。痛みの場所だけでなく、その背景にある仕組みに目を向けてみてください。

免責事項:本記事は個人の体験談および一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断・治療に代わるものではありません。同様の効果を保証するものではありません。持病のある方・服薬中の方は生活習慣の変更前に必ず主治医にご相談ください。

参考文献

本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。

  1. Effectiveness of Myofascial Release Compared to Manual Lymphatic Drainage in Reducing Post-Treatment Shoulder Pain and Stiffness Among Patients Who Underwent Breast Cancer Surgery and Adjuvant Radiotherapy: Randomised controlled trial(Sultan Qaboos Univ Med J 2025) PubMed
  2. Myofascial triggerpoint release (MTR) for treating chronic shoulder pain: A novel approach(J Bodyw Mov Ther 2016) PubMed

よくある質問

Q. 右肩甲骨の下が痛いのは内臓が原因ですか?

A. 肝臓・胆嚢・右腎臓などが右の肩甲骨下に痛みを「放散」させる内臓体性反射が知られています。病院検査と並行して、筋膜や内臓の連動も視野に入れた評価が重要です。

Q. 背中の右側の鈍痛が続くのはなぜ?

A. 慢性的な姿勢負荷や筋膜のトリガーポイント、内臓の機能的な緊張が重なって鈍痛が持続しやすくなります。「異常なし」でも整体・オステオパシー的評価で原因が見つかるケースがあります。

Q. 肩甲骨の下の痛みに整体は効果がありますか?

A. 筋膜リリースを用いたアプローチが肩周辺の痛みや可動域改善に有効とする報告があります。原因が筋膜・内臓連動にある場合、整体やオステオパシーのアプローチが助けになることがあります。

鈴木大樹

鈴木大樹(すずき だいき)

柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了

茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。

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