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「血圧がちょっと高いですね」と言われたとき、いきなり薬を勧められることへの抵抗感を持つ方は少なくありません。気持ちはよくわかります。私自身も、食生活を変える前は血圧の数値が気になる時期がありました。複数の臨床研究では、塩分制限やDASHダイエット・地中海式食事法の組み合わせが血圧低下に関連することが報告されています。食事と血圧の間にある「仕組み」を理解することが、食事で血圧管理を考える第一歩になると感じています。
健康診断で「血圧高め」と言われる人が増えている背景
日本では収縮期血圧(心臓が収縮して血液を送り出す瞬間の圧力)が130mmHg以上の方を「高血圧予備軍」として注意を促す基準が採用されるようになり、健康診断で指摘を受ける方の数は年々増えています。厚生労働省の調査によると、国内の高血圧患者さん数は約4,300万人に上るとされており、成人のおよそ3人に1人が該当する計算です。
なぜこれほど多くの方が高血圧になりやすいのでしょうか。背景にはいくつかの要因が重なっています。
- 食塩(ナトリウム)の過剰摂取:日本人の平均食塩摂取量はWHOが推奨する1日5g未満を大きく上回っており、10g前後とされています。しょうゆ・みそ・漬物・加工食品など、日本の食卓には塩分が潜みやすい。
- 慢性的なストレスと交感神経亢進(こうふん):長時間労働やストレスが続くと、交感神経が過剰に働き続け、血管が収縮しやすい状態が続く可能性があります。
- 運動不足と体重増加:体重が増えると、身体全体に血液を送るために心臓がより大きな力を必要とします。
- 加齢に伴う血管の変化:年齢を重ねるにつれ、血管の柔軟性が失われやすくなります。
施術の現場では、「健診で血圧を指摘されたけれど自覚症状がない」という方が少なくありません。症状がないからこそ、食事や生活習慣との関係を後まわしにしがちです。しかし、そのまま放置すると血管への負担が積み重なる可能性があります。まずは「なぜ血圧が上がるのか」という仕組みを知ることが大切だと感じています。
なお、血圧の数値が高い状態が続く場合や、頭痛・動悸・めまいなどの症状を伴う場合は、自己判断せず必ず医療機関にご相談ください。
塩分が血圧を上げるメカニズム|腎臓・血管・自律神経の連鎖
「塩分を控えると血圧が下がる」というのは多くの方が耳にしたことがあると思います。でも、なぜ塩分(ナトリウム)が血圧を上げるのでしょうか。その仕組みは、腎臓・血管・自律神経の三つが連鎖するところにあります。
ナトリウムが血圧を上げる三つの経路
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血液中の水分量が増える(浸透圧の変化)
食塩を多く摂ると、血液中のナトリウム濃度が上がります。身体はこの濃度を一定に保とうとして、細胞から水分を血管内に引き込みます。結果として血液の量(循環血液量)が増え、血管への圧力が高まります。 -
腎臓のナトリウム排泄が追いつかなくなる
腎臓は余分なナトリウムを尿として排泄する働きをしています。しかし過剰な塩分摂取が続くと、このナトリウム排泄の処理が間に合わなくなる可能性があります。腎臓が「塩分を保持するホルモン(アルドステロン)」を増やす方向に働くと、さらに水分が体内に蓄積しやすくなります。 -
レニン・アンジオテンシン系の活性化
腎臓には血圧を調整するホルモン系(レニン・アンジオテンシン系)があります。塩分過剰や循環血液量の変化がこの系を刺激すると、血管を収縮させるアンジオテンシンⅡというホルモンが増加し、血圧がさらに上がりやすくなります。
交感神経と血管内皮への影響
さらに見逃せないのが、自律神経と血管そのものへの影響です。ナトリウムの過剰摂取は交感神経亢進を促しやすく、血管の緊張が高まることで末梢血管抵抗が増す可能性が指摘されています。また、高塩分の状態が続くと血管内皮機能(血管の内側を覆う細胞が血管を柔軟に保つ機能)が低下しやすくなるという報告もあります。血管内皮が正常に働かないと、血管が拡張しにくくなり、血圧が下がりにくい状態が続く可能性があります。
整体師の視点から言えば、腎臓は1回の呼吸で約3cm動くほど可動性の高い臓器です。オステオパシーの専門校で学んでいる中で、腎臓への慢性的な負担や機能低下が循環系全体の調整力に影響しうることを学んでいます。塩分制限はこうした腎臓の働きを助ける方向のアプローチと考えることができます。
複数の系統的レビュー(過去の研究をまとめた総合分析)では、食事性ナトリウムの摂取量を減らすことで血圧が低下する可能性が示されています。塩分を控えることが血圧管理の基本とされているのは、こうした生理的な連鎖をもとにした根拠があると考えられます。
DASHダイエットと地中海式食事法が血圧に効く理由|整体師が見る内臓・血管の仕組み
塩分制限と並んで、近年研究で注目されているのがDASHダイエット(Dietary Approaches to Stop Hypertension)と地中海式食事法です。どちらも「何を食べないか」だけでなく「何を食べるか」という積極的な視点を持っているのが特徴です。
DASHダイエットの特徴と血圧への働き
DASHダイエットは、アメリカの国立心肺血液研究所が推進する食事法で、以下のような構成を基本としています。
- 野菜・果物を豊富に摂る
- 低脂肪乳製品を取り入れる
- 全粒穀物・豆類・ナッツ類を活用する
- 赤身肉・甘い飲み物・飽和脂肪酸を控える
- 塩分(ナトリウム)を制限する
この食事法が血圧に影響する大きな理由の一つが、カリウム摂取の増加です。カリウムはナトリウムの排泄を促す働きを持ち、血管を拡張させる方向に働く可能性があります。野菜・果物・豆類に豊富に含まれるカリウムを十分に摂ることで、ナトリウムとのバランスが整いやすくなると考えられています。複数のランダム化比較試験(RCT)では、DASHダイエットを実践したグループで血圧の低下が見られたことが報告されています。
地中海式食事法との組み合わせ効果
地中海式食事法はオリーブオイル・魚・野菜・豆類・全粒穀物を中心とした食事パターンです。豊富に含まれる不飽和脂肪酸(オメガ3など)や抗酸化物質が、血管内皮機能の保護に関与している可能性が研究で示されています。塩分制限とDASHダイエット・地中海式食事法を組み合わせることで、高血圧の改善効果がさらに高まるという報告も出ています。
私自身の体験として、平日はほぼ植物中心の食事に切り替えてから、血圧の数値が落ち着いてきた感覚があります(個人の体験であり、同様の変化を保証するものではありません)。以前は痛風の発作が出ていた時期もありましたが、食生活を変えてからその頻度が変わってきた感覚もあります。食事と身体の状態がつながっていることを、自分の身体を通じて感じているところです。
すーさん夫婦の龍ケ崎整体院の施術の現場でも、食生活の変化が身体の状態に影響していると感じる場面に出会うことがあります。ただし個人差が大きく、食事だけですべての方の血圧が改善するとは言えません。あくまで選択肢の一つとして知っておく価値がある、という位置づけです。
食と身体のつながりについては、noteで整体師の実体験とともに詳しく書いています。
→ https://note.com/honest_rose9929
食事で血圧を管理するという考え方|整体師・鈴木大樹の視点
「薬に頼らない高血圧対策」という言葉は魅力的に聞こえます。ただし整体師として正直に伝えたいのは、食事アプローチは万能ではなく、あくまで選択肢の一つであるということです。血圧が非常に高い状態や、臓器に影響が出ているケースでは、まず医師の診察と判断が優先されます。
食事で血圧に働きかける際に大切にしたい考え方
その前提のうえで、食事で血圧管理にアプローチする際に私が大切にしていると感じている視点をお伝えします。
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「何を減らすか」だけでなく「何を増やすか」を考える
塩分控えめにすることは大切ですが、「減らす」だけでは続きにくいことがあります。カリウムを含む野菜・果物・豆類を積極的に取り入れるという「増やす」方向の発想が、食事全体のバランスを整えやすくします。 -
腸と血管は連動している
食べたものは消化管で処理され、腸から吸収されます。腸内環境が整うと短鎖脂肪酸(腸内細菌が食物繊維を分解してつくる物質)が産生され、血圧調整に関わるという研究も出始めています。食事で血圧にアプローチするとき、腸の状態も視野に入れることが大切だと感じています。 -
ストレスと交感神経亢進を忘れない
どれだけ食事を整えても、慢性的な交感神経亢進の状態が続くと血圧は上がりやすくなる可能性があります。食事と並行して、睡眠・呼吸・身体を動かすこと(活動量の確保)なども視野に入れることが理にかなっています。 -
継続できる範囲で始める
完璧な食事管理を目指しすぎると、かえってストレスになることがあります。私自身も平日は植物中心食でも、週末はBBQや肉・刺身も食べる「ゆるいスタイル」を続けています。長期的に無理なく続けられる習慣が、身体への影響として積み重なると感じています。
整体師・オステオパシー的に見た血圧と内臓の関係
オステオパシーの視点では、血圧は血管の問題だけで語れないと考えることがあります。日々の施術のなかで、内臓の緊張状態や自律神経のバランスが循環系の調整力に影響している可能性を感じる場面があります。たとえば腎臓の可動性や周囲組織の緊張は、レニン・アンジオテンシン系の働きと無縁ではないと学んでいます。身体の構造と内臓と食事、この三つを一つのつながりとして見るのが私の施術哲学の根幹です。
茨城・龍ケ崎近辺で施術を受けに来られる方の中にも、食事と血圧の関係を知りたいと相談してくださる方がいます。実際に来られる方を見ていると、血圧の数値だけでなく、生活全体のパターンが変わると身体の状態が変わってきたと感じる方がいることも事実です。ただし個人差が大きく、同様の変化を保証するものではありません。
食事アプローチに興味を持ちながらも「何からどう始めればいいのかわからない」という方にとって、仕組みを知ることが一番の入口になると思っています。
まとめ
健康診断で血圧が高めと言われたとき、すぐに薬を選ぶかどうかの前に、塩分制限・DASHダイエット・地中海式食事法といった食事アプローチが選択肢の一つとなりうることが、複数の研究から示されています。腎臓のナトリウム排泄、レニン・アンジオテンシン系、血管内皮機能、カリウム摂取のバランス——これらの仕組みを理解することが、食事で血圧管理を考える土台になります。血圧が高い状態が続く場合や強い症状がある場合は、必ず医療機関にご相談ください。食事は身体をつくる基盤です。無理なく長く続けられる食の習慣が、血圧を含めた身体全体の状態に働きかける可能性があります。
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参考文献
本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。
- Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) Diet and Blood Pressure Reduction in Adults with and without Hypertension: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials(Adv Nutr 2020) PubMed
- Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) diet. DASH-Sodium Collaborative Research Group(N Engl J Med 2001) PubMed
- DASH vs. Mediterranean diet on a salt restriction background in adults with high normal blood pressure or grade 1 hypertension: A randomized controlled trial(Clin Nutr 2023) PubMed
よくある質問
Q. 食事を変えるだけで血圧は本当に下がりますか?
A. 複数のランダム化比較試験で、塩分制限やDASHダイエットによって収縮期血圧が数mmHg〜10mmHg以上低下したという報告があります。個人差はありますが、食事アプローチは医学的にも有効な選択肢の一つとして認められています。
Q. 塩分を減らすと具体的にどのくらい血圧が下がりますか?
A. 研究によると、1日のナトリウム摂取量を約1〜2g減らすと、収縮期血圧が平均3〜5mmHg程度低下するとされています。元の血圧が高いほど効果が出やすい傾向があり、DASHダイエットとの併用でさらに大きな効果が期待できます。
Q. 薬を飲まずに食事だけで高血圧を管理することはできますか?
A. 軽度の高血圧であれば、塩分制限や食事改善によって薬なしで管理できるケースも報告されています。ただし、重度の高血圧や合併症がある場合は医師の判断が必要です。食事アプローチは薬との併用でも効果を高める手段として活用できます。
鈴木大樹(すずき だいき)
柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了
茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。
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すーさん夫婦の龍ケ崎整体院
📍 茨城県龍ケ崎市愛戸町58-2(龍ケ崎郵便局から徒歩2分)
📞 080-3406-6568 🕐 平日9:00〜21:00 / 土曜8:30〜15:30

