肩を押したときに感じる、あのゴリゴリした感触。「骨が当たっているのかな?」「老廃物が溜まっているんじゃ?」と気になっている方は多いと思います。でも実は、そのゴリゴリの正体は、筋膜の癒着やトリガーポイントといった、解剖学的にきちんと説明できる構造体である可能性が高いのです。整体師・柔道整復師としての現場経験と、オステオパシーの専門校で学んでいる知識を交えながら、そのメカニズムを一緒に紐解いていきましょう。
「肩のゴリゴリ」の正体——多くの人が誤解していること
「老廃物」や「骨」ではない可能性が高い
「肩こりのゴリゴリは老廃物が固まったもの」という説明を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ただ、これは現在の解剖学的・生理学的な観点からは、やや正確さに欠ける表現と考えられています。
指先に感じるゴリゴリの感触の正体として、現在の研究や臨床で有力とされているのは、主に以下の三つです。
- 筋膜の癒着(きんまくのゆちゃく):筋肉を包む薄い膜が、隣の組織と張り付いてしまった状態
- トリガーポイント:筋肉内にできた、押すと痛みや放散感が出る”しこり”のような硬結(こうけつ)
- 筋肉の持続的な収縮・短縮による硬結:血流が悪くなった筋繊維の一部が、解放されないまま収縮し続けている状態
つまり、ゴリゴリの正体は「何か余計なものが溜まった」というより、本来なめらかに動いているはずの組織が、動けなくなっている状態と理解するほうが正確に近いと考えられます。
「肩こり ゴリゴリ 何?」に答えるなら
当院(龍ケ崎の整体院)の施術の現場では、「肩のゴリゴリを押してもらうと気持ちいいけど、なぜかすぐ戻る」とおっしゃる患者さんにとても多く出会います。この「戻る」という現象こそが、実はゴリゴリの正体を理解するうえで重要なヒントになります。単純に力で押しつぶせる”塊”なら、一度ほぐれれば戻らないはずです。でも戻るということは、そこにゴリゴリを生み出し続ける仕組みがあるということ。その仕組みについては、次のセクションで詳しく見ていきます。
筋膜とトリガーポイントが生み出すゴリゴリの仕組み
筋膜という「第二の骨格」の役割
筋膜(きんまく)とは、筋肉・臓器・神経・血管など、体内のあらゆる組織を包み込む薄い膜のことです。全身に連続してつながっており、「第二の骨格」とも呼ばれることがあります。
健康な筋膜はしっとりと水分を含み、組織どうしがなめらかにスライドし合います。ところが、長時間の同じ姿勢・疲労・ストレス・冷えなどによって、この筋膜が乾燥・硬化し、隣の組織と張り付いてしまう「筋膜癒着」が起こる可能性があります。Steccoらの筋膜研究でも、筋膜の滑走性の低下が慢性的な肩の痛みや可動域制限に関わっている可能性が示されており、この筋膜癒着こそが「肩こりの硬い塊」や「ゴリゴリ感」の主要な原因のひとつと考えられています。
トリガーポイントという「痛みの発信源」
筋膜の中でも特に注目されているのが、トリガーポイント(筋筋膜性疼痛症候群の圧痛点)という概念です。これは筋肉内に生じる局所的な過敏点で、押すと周囲や離れた場所にも痛みや重だるさが広がる(放散する)特徴があります。
研究では、筋膜リリース技術がトリガーポイントへのアプローチとして肩の痛みや可動域制限の改善に役立つ可能性があると報告されています。トリガーポイントは、筋肉が虚血状態(血流不足)になったときに形成されやすく、そこに触れると「ゴリゴリ」あるいは「ブツブツ」した感触として認識されることがあります。これが、多くの人が「肩こりのゴリゴリ 原因」として経験している感触の一つの正体と考えられます。
ちなみに、肩甲骨まわりのゴリゴリ感も同じメカニズムで説明できることが多く、「肩甲骨 ゴリゴリ 原因」として検索される方の多くが、この筋膜癒着やトリガーポイントに該当している可能性があります。
整体師・オステオパシー目線で見る「なぜほぐれないのか」の本当の理由
「肩こり ほぐれない 原因」は肩の外にある場合も
整体師として、またオステオパシーの専門校で身体を一つの有機的なつながりとして学んでいる立場から申し上げると、「肩がほぐれない本当の理由は、肩の外にある場合がある」というのが、私の臨床上の実感です(あくまで当院の経験として、一般化するものではありません)。
たとえば、オステオパシーの内臓連動の視点では、肝臓の可動性の問題が横隔膜を介して右肩の緊張を引き起こす可能性があると考えられています。横隔神経(C3〜C5)は頸部を経由して横隔膜を支配しており、この経路を通じて肝臓や横隔膜の緊張が肩・頸部に伝わる可能性があります。同様に、胃や左の消化器系の問題が左肩の緊張として現れるケースも、臨床上で観察されることがあります。
また、自律神経と肩こりの関係も見逃せません。過緊張・ストレス過多・睡眠不足などで交感神経が優位になると、筋肉の緊張が持続しやすくなり、筋膜の硬化が進む可能性があります。こうした全身的な要因があるとき、肩だけをどれだけほぐしても、しばらくすると元に戻ってしまうのはある意味当然のことかもしれません。
「内臓体性反射」という見えない連動
内臓体性反射(ないぞうたいせいはんしゃ)とは、内臓の不調が脊髄を介して筋肉・皮膚・関節に反射的な緊張や痛みを引き起こす仕組みのことです。これは医学的に認められたメカニズムであり、たとえば狭心症の痛みが左腕に出る「関連痛」はその代表例です。
同様のメカニズムで、消化器・泌尿器・生殖器などの内臓が何らかの負担を抱えているとき、対応する脊髄レベルの筋肉が防御的に緊張し続ける可能性があります。これが繰り返されると、筋膜の癒着やトリガーポイントの形成が助長され、「ほぐしてもほぐれない」肩こりになっていく可能性があると、私は臨床上感じることがあります。
龍ケ崎の当院の施術でも、肩こりがメインの訴えの患者さんに対して、肩そのものだけでなく横隔膜・腹部・骨盤周囲にもアプローチすることで、肩のゴリゴリ感が変化していく傾向を感じることがあります(個人差があります)。
肩そのものではなく、身体を一つのつながりとして見る——その見方はnoteにまとめています。
→ https://note.com/honest_rose9929
ゴリゴリは「結果」であり「原因」ではない——整体師としての考え方
病変連鎖という視点
オステオパシーの考え方に「病変連鎖」という概念があります。これは、一か所に生じた制限(動きにくさ)が、隣接する組織・構造へと次々に影響を波及させていくという考え方です。
肩のゴリゴリも、この視点で見ると「最初の制限から生じた連鎖の終着点」である可能性があります。たとえば姿勢の崩れが始まりとして、胸椎の動きが硬くなり、肩甲骨の動きが制限され、肩周囲の筋膜に慢性的な張力がかかり続けた結果として、ゴリゴリした硬結が形成されていくという流れが考えられます。この場合、肩のゴリゴリだけにアプローチしても「なぜか戻る」のは、一次的な制限(根本の問題)がそのまま残っているからと理解できます。
ゴリゴリを「サイン」として読む
整体師として私が大切にしているのは、ゴリゴリを「取り除くべき異物」ではなく、身体が発しているサインとして読むことです。
- どの部位にゴリゴリがあるか(肩峰周囲か、肩甲間部か、頸椎際か)
- 押したときに放散痛があるか(トリガーポイントの可能性)
- 左右どちらに多いか(内臓連動の方向性を示す可能性)
- いつ頃から・どんな生活習慣の変化と重なっているか
こうした「読む」プロセスを経ることで、施術の視点が広がり、肩そのものではなく身体全体を整える入口としてゴリゴリを活用できる場合があります。
なお、ゴリゴリの感触が急に強くなった・強い痛みを伴う・しびれが出てきたなどの場合は、頸椎の問題や他の疾患が隠れている可能性もあります。こうした症状が続く場合や強い痛みがある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
茨城・龍ケ崎エリアの当院では、こうした「ゴリゴリの背景にある連鎖」を丁寧に評価しながら施術を進めることを大切にしています。患者さん一人ひとりの身体の文脈を読むことが、長く続く肩こりへのアプローチの第一歩だと考えています(個人差があります)。
まとめ
肩こりのゴリゴリの正体は、「老廃物」ではなく、筋膜の癒着・トリガーポイント・硬結などである可能性が高いと考えられます。そしてそれは「原因」ではなく、姿勢・内臓連動・自律神経など複数の要因が積み重なった「結果」として現れているサインかもしれません。ほぐしても戻るのであれば、ぜひ身体全体のつながりという視点でご自身の肩こりを見つめ直してみてください。
参考文献
本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。
- Effectiveness of Myofascial Release Compared to Manual Lymphatic Drainage in Reducing Post-Treatment Shoulder Pain and Stiffness Among Patients Who Underwent Breast Cancer Surgery and Adjuvant Radiotherapy: Randomised controlled trial(Sultan Qaboos Univ Med J 2025) PubMed
- Myofascial triggerpoint release (MTR) for treating chronic shoulder pain: A novel approach(J Bodyw Mov Ther 2016) PubMed
よくある質問
Q. 肩のゴリゴリは何が当たっている感触なの?
A. 骨ではなく、筋膜が癒着して硬化したトリガーポイントや筋硬結が触れている感触です。血流が滞った筋肉内に形成されることが多く、押すと痛みや放散痛を感じることがあります。
Q. 肩こりのゴリゴリはなぜほぐれないの?
A. 表面の筋肉だけをほぐしても、深層の筋膜癒着や自律神経・内臓の緊張が残っていると再び硬くなります。根本にある緊張パターンにアプローチしないと、ほぐれては戻るを繰り返しやすくなります。
Q. 肩甲骨のゴリゴリ音は病気のサイン?
A. 多くの場合、筋膜の滑走不全や筋硬結によるもので病気ではありませんが、炎症や石灰化沈着症など医療的なケアが必要なケースもあります。痛みが強い・音が急に変化した場合は専門家への相談をおすすめします。
鈴木大樹(すずき だいき)
柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了
茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。
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すーさん夫婦の龍ケ崎整体院
📍 茨城県龍ケ崎市愛戸町58-2(龍ケ崎郵便局から徒歩2分)
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