この記事は個人の体験談と参考書籍をもとにした健康情報です。医療的な診断・治療に代わるものではありません。持病のある方・服薬中の方は必ず主治医にご相談ください。
腰が痛くて来られた方に、おなかを触らせていただくことがあります。たいてい、少し不思議そうな顔をされます。
ですが実際のところ、腰だけを触っていても変わらないということが、少なくありません。
このページは、龍ケ崎で整体院をしている柔道整復師が、腰と骨盤と脚について、どこを見ているのかを一通り書いたものです。
整体師として、腰を診ていて感じていること
ここからは、教科書ではなく、実際に施術をしている中で感じていることを書きます。一般化できる話ではなく、あくまですーさん夫婦の龍ケ崎整体院に来られる方に多く見られる傾向です。
いちばん大事だと思っているのは、骨盤帯です
腰まわりを診るとき、私がいちばん大事だと思っているのは骨盤帯——仙骨と腸骨です。
そしてそのなかでも、とくに仙骨を見ます。腰椎の一番下が乗っている土台であり、左右の腸骨に挟まれ、上半身の重さが脚へ渡っていく中継点でもあるからです。
ここが動きにくくなっていると、その上に乗っている腰椎に負担が集まりやすくなります。
共通しているのは、姿勢に関わること
腰痛で来られる方に多いと感じる共通点は、はっきりしています。デスクワーク、同じ姿勢を続けていること——つまり姿勢に関わることです。
強い力がかかった心当たりがないのに腰が痛い、という方は少なくありません。話を伺っていくと、たいてい「長く座っている」「同じ格好が続いている」という背景が出てきます。
「腰だけ触っても変わらない」とお伝えするとき
腰だけをほぐしても戻ってしまう方には、内臓の説明をします。
腰は、後ろから支えられているだけではありません。おなかの側から、膜を通して引っ張られていることがあります。その引っ張りが残ったまま腰だけを緩めても、また同じところが硬くなります。
だから腰痛の方でも、おなかを診ます。触ってみて、下腹部のあたりに硬さが強く出ているときは、「これは腰そのものより、おなかから来ているかもしれない」と考えます。
仙骨は、どういう骨か
仙骨は、背骨の一番下にある逆三角形の骨です。左右の腸骨と仙腸関節でつながっていて、この関節は肩や膝のように大きく動く関節ではありません。ごくわずかに動きます。
わずかしか動かないからこそ、その少ない動きが失われたときの影響が上下に及びます。上には腰椎が乗り、下には股関節を介して脚が続いています。
「お尻の上のあたりが痛い」という訴えは、腰でも股関節でもなく、この仙腸関節が関わっていることがあります。
なぜ、同じ姿勢がこたえるのか
座り続けているとき、腰は「休んでいる」ように見えます。ですが実際には、骨盤が後ろに倒れ、腰椎の自然なカーブが失われた状態が続いています。
そのあいだ、身体の前側では股関節を曲げる筋肉(腸腰筋)が縮んだままになります。立ち上がったときに腰が伸びにくいのは、この筋肉が長さを取り戻せていないためと考えられます。
どんな姿勢も、悪い姿勢というより「続いていること」が負担になります。
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おなかの側から、引っ張られることがあります
ここが、腰だけを見ていると届かない部分です。
おなかの中の臓器は、宙に浮いているわけではありません。膜で吊られていたり、背中側の壁に貼りついていたりします。小腸を吊っている腸間膜は、第2腰椎のあたりから右の仙腸関節のあたりへ、斜めに走る細い付着線で支えられています。
つまりおなかの中の膜の張力は、腰椎と骨盤に直接つながっています。おなかがゆるむと腰が軽くなる方がいるのは、この経路が関わっている可能性があります。
腎臓も同じです。腎臓は後腹膜にあり、大腰筋と腰方形筋のすぐ前に埋まっています。腰の筋肉と腎臓のあいだには、ほとんど距離がありません。
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腰は、呼吸でも支えられています
おなかの中の圧(腹圧)は、腰を内側から支える仕組みのひとつです。その圧を作っているのが、上の横隔膜、下の骨盤底、前の腹横筋、後ろの背骨——つまり四方の壁です。
呼吸が浅くなると、この壁のうち上と前がうまく働きにくくなります。腰を守る圧が下がれば、そのぶんを筋肉が肩代わりすることになります。
脚の側から積み上がることもあります
骨盤の下には股関節があり、その先に膝と足が続いています。立っているあいだ、身体は足から骨盤まで一本の柱として積み上がっています。
足のアーチが落ちると、その上の膝・股関節・骨盤の位置関係が変わります。腰が痛くて来られた方の足を見ると、扁平足や外反母趾があることは珍しくありません。
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お尻から脚に出る痛み
お尻から太ももの裏、ふくらはぎへと走る痛みやしびれは、坐骨神経の走行に沿って出ることがあります。
画像検査で異常が見つからないこともあります。その場合、お尻の深いところにある梨状筋のあたりで、神経が影響を受けている可能性が指摘されることがあります。
朝だけ痛い、というとき
「起きたときがいちばんつらくて、動いているうちに楽になる」という訴えはよくあります。寝ているあいだは同じ姿勢が何時間も続くので、日中の「同じ姿勢」の話と地続きです。
産後の腰痛は、少し別に考えます
妊娠中はホルモンの働きで靭帯がゆるみ、骨盤帯が動きやすい状態になります。産後はその状態から戻っていく途中なので、通常の腰痛とは前提が違います。
骨盤底も同時に負担を受けているため、腰の話だけでは収まらないことがあります。
こういうときは、医療機関へ
次のようなときは、施術より先に受診をおすすめします。
- 足に力が入らない、感覚が鈍い
- 排尿・排便に変化がある(出にくい、我慢できない)
- 安静にしていても引かない痛み、夜間に強くなる痛み
- 発熱をともなう、意図しない体重の減少をともなう
- 転倒・事故のあとの強い痛み
- がんの既往がある方の、新しく出てきた腰の痛み
- 片側の腰から脇腹・足の付け根へ走る激しい痛み、血尿、じっとしていられない(尿路結石の可能性があります)
今日から意識できること
- 同じ姿勢を続けないこと。30分に一度立つだけでも、続いている状態は切れます
- 座り方より、座っている時間を見ること。正しい座り方も、続けば負担になります
- 息を吐く時間を長くとること。腰を内側から支えているのは、おなかの中の圧です
- お通じの調子を気にしてみること。おなかの状態と腰の重さが重なることがあります
- 靴の底の減り方を見ること。足元の使い方が出ます
よくいただく質問
Q. 骨盤の歪みは、矯正すれば元に戻りますか
骨盤は一度ずれたら固定される、というものではありません。日々の姿勢や使い方のなかで位置関係が変わっていきます。形だけを動かすより、なぜその位置になっているかを見ていきます。個人差があります。
Q. 腰が痛いのに、おなかを触るのはなぜですか
おなかの中の臓器は膜で吊られていて、その膜は腰椎や骨盤につながっています。おなか側の張力が残ったまま腰だけを緩めても、戻りやすくなるためです。
Q. 画像で異常なしと言われました。それでも痛いのはなぜですか
画像は骨や椎間板の形を写しますが、膜の張力や動きの癖は写りません。異常なしという結果は「その検査の範囲では問題がない」という意味で、痛みが気のせいという意味ではありません。
Q. ヘルニアと言われたら、手術しかないのですか
判断は主治医の領域です。ただ、保存的に経過を見る選択肢が説明されることもあります。まずは主治医とよくご相談ください。
Q. 腰痛に、腹筋や背筋を鍛えたほうがいいですか
痛みがあるうちに強い負荷をかけるのはおすすめしません。何が痛みにつながっているかを確かめるのが先です。個人差があります。
Q. 何回くらい通えばいいですか
身体の状態も生活も人によって違うので、回数をお約束することはできません。変化の出方を見ながら一緒に決めていきます。個人差があります。
おわりに
腰痛は「腰の病気」として語られがちですが、身体を触っていると、腰は結果を引き受けている側に見えることがあります。
土台になっている仙骨と腸骨、長く続いている姿勢、おなかの側からの引っ張り、足元からの積み上がり——どれも腰そのものの外側にあります。
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身体の見方について、もう少し深く書いたものをnoteにまとめています。
すーさん夫婦の龍ケ崎整体院|自然療法とオステオパシーの読みもの
参考にした書籍
- Netter FH『ネッター解剖学アトラス』
- Moore KL『臨床のための解剖学』
- Barral JP『Visceral Manipulation(内臓マニピュレーション)』
免責事項:本記事は個人の体験談および一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断・治療に代わるものではありません。同様の効果を保証するものではありません。持病のある方・服薬中の方は生活習慣の変更前に必ず主治医にご相談ください。