霞ヶ浦のほとりに暮らす土浦市の方が「梅雨になると毎年だるくなる」と感じるのは、気のせいでも根性不足でもありません。湿度という環境因子が、自律神経という目に見えない調節システムに具体的な負荷をかけているからです。この記事では、柔道整復師としての臨床経験と、オステオパシーの専門校で学んでいる知識をふまえて、湿気と自律神経の乱れの仕組みを丁寧に解き明かしていきます。「毎年この季節になると体がおかしい」と感じている方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
霞ヶ浦近くの土浦市で「梅雨だけ体がおかしい」と感じる理由
霞ヶ浦という地形がつくる独特の湿度環境
霞ヶ浦は日本で2番目に大きい湖です。その面積は約220km²にのぼり、湖面からは常に大量の水分が蒸発しています。土浦市はこの霞ヶ浦に面した地域であるため、内陸部でありながら、湖岸特有の高湿度環境にさらされやすい立地にあります。
梅雨の時期になると、この湿度はさらに高くなります。気象庁のデータでも、茨城県南部の梅雨期間中の相対湿度は80〜90%台に達することが珍しくありません。湿度が高い状態とは、大気中の水蒸気が飽和に近づいている状態です。私たちの体は、汗をかいても蒸発しにくい、体内の熱を逃がしにくい、という状況に置かれます。
さらに、梅雨の時期は低気圧が繰り返し通過します。気圧の変動は、内耳(ないじ)にある気圧センサーを通じて自律神経に影響を与える可能性があるとされています。気圧と自律神経、内耳の関係については後述しますが、土浦市のように水辺に近く湿度が高い地域では、この気圧変動の影響を受けやすい環境が整っている可能性があると考えられます。
「毎年この季節だけ」がサインになる理由
季節性があるというのは、実はとても重要な手がかりです。毎年同じ季節に同じ症状が出るということは、その症状が「特定の環境変化に対して体が反応している」ことを示している可能性があります。梅雨の慢性疲労・倦怠感が毎年繰り返される場合、それは単なる疲れではなく、自律神経が湿度・気圧の変化に対して毎回負荷を受けているサインである可能性があります。
こうした症状が日常生活に支障をきたすほど続く場合や、強い倦怠感・めまいを伴う場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
霞ヶ浦のそばは、実際どのくらい湿度が高いのか
気圧センサーとしての内耳と自律神経の接続
自律神経は、心拍・血圧・体温・消化・呼吸など、私たちが意識しなくても動き続けている身体機能を調節しているシステムです。交感神経(活動・緊張)と副交感神経(休息・回復)の2系統がバランスをとりながら働いています。
梅雨期に特徴的なのは、低気圧の繰り返しと高湿度が同時にやってくることです。内耳には気圧の変化を感知する受容器(センサー)があり、気圧・自律神経・内耳はつながっているとされています。気圧が下がると、この内耳センサーが反応し、自律神経——特に副交感神経——が優位になりやすい方向へのシフトが起きやすいとされています。
副交感神経が優位になること自体は、休息・回復のために必要なことです。しかし、気圧変動が繰り返されたり、高湿度という身体的ストレスが重なったりすることで、この切り替えがうまくいかなくなる可能性があります。結果として、副交感神経優位によるだるさ——体が「休め」モードのまま動けない、眠いのに疲れがとれないという状態——が続くことがあると考えられます。
迷走神経・横隔膜・内臓への連鎖
自律神経の中でも「迷走神経(めいそうしんけい)」は特に重要な役割を持っています。脳幹から始まり、心臓・肺・消化管など多くの内臓に枝を伸ばす巨大な神経で、全身の内臓機能を調節しています。迷走神経と内臓の不調は深くつながっており、迷走神経の働きが乱れると、胃の重さ・消化の悪さ・腸の不具合といった症状が出やすくなる可能性があります。
また、横隔膜・呼吸・自律神経の関係も見逃せません。横隔膜は私たちが呼吸するたびに動く筋肉ですが、この横隔膜は迷走神経と隣接しており、呼吸のリズムが自律神経の状態に直接影響を与えているとされています。湿度が高い環境では、呼吸自体が浅くなりやすいことが知られています。空気中の水蒸気量が多いと、肺への酸素取り込みの効率が低下しやすく、横隔膜の動きも小さくなりがちです。こうした呼吸の変化が、自律神経の乱れを引き起こす一因になっている可能性があると考えられます。
慢性疲労症候群(ME/CFS)の研究では、重度の疲労に加えて自律神経の機能障害が主要な症状のひとつとして報告されています。また、感染症をきっかけに自律神経が乱れ、倦怠感や血圧調節の不具合が長期間続く可能性が示されています。梅雨の時期に「疲れが抜けない」「だるさが続く」という状態の背景にも、自律神経のバランスの乱れが関係している可能性があると考えられています。
オステオパシー目線で見る「湿気と体の構造」の深い関係
体液循環・リンパ・湿邪という視点
オステオパシー(身体の構造と機能の関係を重視する手技療法の体系)では、「身体の中の液体の流れ」を非常に重視します。血液・リンパ液・脳脊髄液——これらの体液循環とリンパの流れが滞ると、組織の栄養供給や老廃物の排出がうまくいかなくなるとされています。
東洋医学では、梅雨の時期の体調不良の原因として「湿邪(しつじゃ)」という概念が使われます。体外の湿気が体内に影響し、気・血・水の流れを滞らせるという考え方です。オステオパシーの視点と完全に一致するわけではありませんが、「湿気が体内の流れに影響する」という着眼点は、現代の整体・手技療法の観点からも興味深いと感じています。
高湿度の環境では、皮膚からの発汗・蒸散がうまくいかず、体表の体温調節が乱れやすくなります。体温調節は自律神経の重要な仕事のひとつです。この体温調節に自律神経がリソースを割かれると、他の内臓機能の調節——消化・循環・免疫——に使えるリソースが減るという連鎖が起きている可能性があると考えられます。
横隔膜・膜系のつながりと内臓への波及
オステオパシーの専門校での学びの中で、私が特に印象深いのは「横隔膜と内臓の膜系のつながり」です。横隔膜は単なる呼吸筋ではなく、肝臓・胃・食道・大血管がすべて横隔膜と連続した膜(漿膜・筋膜)でつながっています。
高湿度環境で呼吸が浅くなり、横隔膜の動きが小さくなると、この膜を通じた内臓への動きも連動して小さくなる可能性があります。肝臓は呼吸のたびに上下に動いており、この動きが肝臓内の血流・リンパの流れを助けているとされています。横隔膜の動きが減ると、肝臓の内圧変動が小さくなり、体液循環が滞りやすくなる可能性があります。
すーさん夫婦の龍ケ崎整体院の施術の現場では、梅雨時期に「胃がもたれる」「右の肩や首が重い」という訴えが増える傾向を感じることがあります。これが湿気による横隔膜・肝臓・膜系への影響と関連しているかどうかは断言できませんが、呼吸と内臓のつながりという視点でアプローチすると変化を感じやすい方がいる、という印象を持っています(あくまで当院の臨床経験としての傾向であり、医学的な因果関係を示すものではありません)。
自律神経と内臓・頭蓋のつながり、施術現場での変化の観察はnoteに書いています。
→ https://note.com/honest_rose9929
整体師として伝えたい——湿気による不調をどう捉え直すか
「だるさ」は身体からのメッセージである可能性がある
梅雨の時期に感じるだるさや倦怠感を「しんどいだけ」と捉えるのか、「身体が環境の変化に反応しているサイン」と捉えるのかによって、その後の対処の仕方が変わってきます。
整体師として大切にしているのは、症状を「消すべきもの」としてではなく「身体が発している情報として読む」という姿勢です。梅雨の慢性疲労・倦怠感は、自律神経が湿度・気圧の変化に対応しようとして、副交感神経優位のだるさという形でシグナルを出している可能性があります。このシグナルを無視して頑張り続けると、自律神経の切り替え能力そのものが疲弊していく可能性があります。
私自身、食生活を植物中心のスタイルに変えてから、梅雨の時期でも以前ほどだるさが残らなくなった感覚があります。これはあくまで個人の体験であり、同じ効果を保証するものではありませんが、食と内臓の状態、そして自律神経の調節力は無関係ではないと感じています。食と身体のつながりについては、noteで整体師の実体験とともに詳しく書いています。
→ https://note.com/honest_rose9929
自律神経を整えるための方向性——茨城・土浦に住む方へ
自律神経の整え方として、茨城・土浦エリアに住む方に伝えたいことがあります。それは「環境に勝とうとしない」ということです。霞ヶ浦のほとりという立地は、この先も変わりません。高湿度・気圧変動という環境因子は毎年やってきます。
大切なのは、身体がこの環境変化に対して柔軟に対応できるだけの「調節の余力」を日ごろからつくっておくことだと考えています。具体的な方向性としては、次のような視点が考えられます。
- 呼吸の質を意識する:横隔膜・呼吸・自律神経のつながりを考えると、呼吸の深さや質を日常的に意識することが、自律神経の整え方のひとつの方向性になり得ます
- 内臓への負担を減らす:迷走神経と内臓の不調のつながりから、消化器系に負担をかけ続ける生活習慣を見直すことが、自律神経の余力を保つことにつながる可能性があります
- 体液循環・リンパの流れを助ける:湿邪の概念が示すように、体内の流れを助ける習慣が、梅雨の不調の予防的な対策として考えられます
ただし、セルフケアの具体的な手順・やり方については、noteで詳しく解説しています。
→ https://note.com/honest_rose9929
また、つくば市や龍ケ崎など茨城南部にお住まいの方も、霞ヶ浦周辺の湿度環境の影響を受けやすい地域にいます。「自律神経の気候・影響」という視点は、茨城全域の方に関係する話だと感じています。
梅雨の体調不良が毎年繰り返される、倦怠感が数週間以上続く、めまいや動悸を伴うといった場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
まとめ
霞ヶ浦近くの土浦市という地形的・気候的な特性が、梅雨時期の湿度・気圧変動を通じて自律神経に影響を与えている可能性があることを、整体師・オステオパシー学習者の視点から解説しました。湿気による副交感神経優位のだるさ、横隔膜・迷走神経・内臓膜系の連鎖、体液循環の滞り——これらの仕組みを知ることが、「なぜ毎年この季節に体がおかしくなるのか」という問いへの答えになる可能性があります。症状は身体からのメッセージです。無視せず、丁寧に向き合っていただければと思います。
参考文献
本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。
- Chronic Fatigue Syndrome(2026) PubMed
- Autonomic neuropathy after rubella infection(Med J Aust 1987) PubMed
よくある質問
Q. 湿気が多いとなぜだるくなるの?
A. 湿度が高いと体の熱放散が妨げられ、体温調節のために自律神経が過剰に働きます。その疲弊が副交感神経優位の「だるさ・眠気・意欲低下」として現れやすくなります。
Q. 土浦や霞ヶ浦周辺は自律神経に影響しやすい環境なの?
A. 霞ヶ浦から蒸発する水分で周辺の湿度が年間を通じて高めに推移しやすく、特に梅雨〜夏は体の調節システムへの負荷が続きやすい環境です。慢性的なだるさの一因になりえます。
Q. 引っ越してから体調が変わった気がします。土地は関係ありますか?
A. 湿度や気温の変わり方は土地によって違うので、身体の慣れが追いつくまで時間がかかることはあります。ただし体調の変化は他の理由でも起きるので、続くようなら一度医療機関へご相談ください。個人差があります。
鈴木大樹(すずき だいき)
柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了
茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。
📚 さらに深く知りたい方へ
自律神経が揺れやすい生活を、食から見直していく話はnoteにまとめています。
✔ 食と成長の教科書(¥1,980)/食が身体をつくる仕組みを、資料と臨床の視点から読み解く
✔ 痛い場所に、原因はない(¥1,500)/痛む場所と原因の場所がずれる理由から、整体院の選び方まで
✔ 腸の菌の話(¥980)/飲んだ菌は、住み着いていませんでした
無料の記事もあります/有料記事は¥980〜・買い切り ※効果を保証するものではありません
茨城県龍ケ崎市で実際に施術を受けたい方へ
すーさん夫婦の龍ケ崎整体院
📍 茨城県龍ケ崎市愛戸町58-2(龍ケ崎郵便局から徒歩2分)
📞 080-3406-6568 🕐 平日9:00〜21:00 / 土曜8:30〜15:30

