首こり・肩こりは仕事で違う?|職種別の負担と筋膜の連動

肩こり
この記事は個人の体験談と参考書籍をもとにした健康情報です。医療的な診断・治療に代わるものではありません。持病のある方・服薬中の方は必ず主治医にご相談ください。
首こり・肩こりは仕事で違う?の挿絵(水彩)

「首こり・肩こりは仕事で違う?」と感じたことはありませんか。同じ「肩こり」でも、パソコンに向かう人と前かがみで患者さんを支える人とでは、首や肩にかかる力の向きがまったく違います。肩そのものより、仕事中の姿勢のくせが筋膜を通じて首まで引っぱっていると考えられる場面もあります。この記事では、職種ごとの負担の形と、筋膜・呼吸・内臓の連動から、こりが続く背景を整体師の目線でひもときます。

同じ肩こりでも仕事によって負担のかかり方が違うのはなぜか

肩こりは「疲れがたまったもの」とひとまとめにされがちです。けれども体の側から見ると、どの方向に、どれくらいの時間、どんな姿勢で力がかかっているかによって、その中身はかなり違います。

人の頭は、一般に体重の1割前後の重さがあるとされています。この重さを首の骨と、そのまわりの筋肉や筋膜が一日中支えています。頭が体の真上に乗っているときは骨で受け止めやすいのですが、頭が前に出るほど、首の後ろや肩の筋肉が引っぱって支える割合が増えていきます。

仕事による違いを整理すると、おおまかに次の三つの要素に分けて考えられます。

  • 力の向き:頭が前に出るのか、上半身ごと前に倒れるのか、左右どちらかに傾くのか
  • 時間:同じ姿勢で止まっている時間の長さ(動かない負担は、動いている負担とは別の疲れ方をします)
  • 繰り返し:同じ動きを何度も重ねるかどうか

たとえばデスクワークの姿勢は「頭が前に出たまま止まる」形、医療や介護の現場は「前かがみ姿勢で重さを受け止める」形、販売や調理などの立ち仕事は「足元からの傾きが上へ伝わる」形になりやすいといえます。こうした仕事に関連した首・肩・腰の不調は、産業保健の分野では「作業関連筋骨格系障害」という言葉でまとめて扱われることもあります。

茨城県龍ケ崎市にある、すーさん夫婦の龍ケ崎整体院の施術の現場でも、同じ「肩がつらい」という言葉でも、事務職の方と看護や介護のお仕事の方とでは、張っている場所や硬さの広がり方が違うと感じることがよくあります。つまり、職種ごとの姿勢のくせを知ることが、こりの背景を読み解く手がかりになるのです。

デスクワーク・立ち仕事・前かがみ作業で変わる筋膜の引っぱり合い

ここで知っておきたいのが筋膜の連続性です。筋膜は筋肉を包む薄い膜で、一つの筋肉の中だけで完結せず、隣の筋肉、さらに離れた部位へと途切れずに続いています。全身を覆う一枚のボディスーツをイメージすると近いかもしれません。どこか一か所が縮んだり引っぱられたりすると、その張力は膜を伝って別の場所にも及ぶと考えられています。

この視点で職種ごとの姿勢を見ていくと、次のような引っぱり合いが想像できます。

  • デスクワーク:画面をのぞき込む姿勢が続くと、首の自然なカーブが少なくなった、いわゆるストレートネックの形に近づきやすくなります。頭を支えるために首の後ろから肩にかけての僧帽筋が引っぱられ続け、反対に胸の前側は縮んだ状態で固まりがちです。マウスを持つ側の腕だけが前に出ていると、左右で張り方に差が出ることもあります。
  • 医療・介護の現場:外科医の方は手術中、うつむいたまま腕を浮かせて細かい作業を続けます。首の後ろと肩甲骨のまわりが長い時間、ほぼ同じ位置で固定される形です。看護や介護では、中腰でベッドの患者さんを支えたり、体をひねりながら持ち上げたりする場面が多く、背中から腰にかけての筋膜が伸ばされたまま力を出すことになります。
  • 立ち仕事:片足に体重をかけるくせがあると骨盤が傾き、体の側面の筋膜を通じて反対側の肩の高さに影響が及ぶことがあります。肩のつらさの出発点が足元や骨盤にあると考えられる場合です。

これまで診てきた範囲では、立ち仕事の方の肩のつらさをたどっていくと、骨盤や股関節まわりの硬さとつながっていると感じる場面があります。肩をほぐすだけでは張りが戻りやすい方の場合、筋膜の引っぱり合いが離れた場所から続いている可能性を考えます。

首だけでは終わらない|整体師が見る呼吸・肋骨・内臓の連動

職種を問わず、前かがみ姿勢が続く方に共通しやすいのが呼吸の浅さです。背中が丸まると肋骨が広がる余地が小さくなり、呼吸の主役である横隔膜(肋骨の内側にあるドーム状の筋肉)も動きにくくなります。

すると、本来は補助役である首まわりの筋肉、たとえば耳の後ろから鎖骨へ走る胸鎖乳突筋や、首の横の斜角筋が呼吸を手伝う場面が増えます。呼吸は一日に何万回と繰り返す動きです。そのたびに首の筋肉が少しずつ働き続ければ、首こりの背景の一つになりうると考えられます。

肋骨は肩甲骨の土台

肩甲骨は、肋骨でできた胸郭(鳥かごのような骨組み)の上を滑るように動いています。胸郭が硬くなると、肩甲骨の動きも制限され、肩まわりの筋肉が余計に頑張ることになります。肩のこりを見るときに肋骨や背骨の動きも確かめるのは、こうした構造上のつながりがあるからです。

横隔膜と内臓、そして首

横隔膜を動かす横隔神経は、首の骨(頸椎の3〜5番あたり)から出ています。さらにオステオパシーでは、横隔膜のすぐ下にある肝臓や胃も、膜を介して横隔膜とつながる構造として見ていきます。

施術の現場では、右肩のつらさが強い方で、みぞおちの右側に張りを感じることがあります。また、肩こりに頭の重さが重なっている方で、首や肩に加えて横隔膜まわりもあわせて施術すると、首の張りの感じ方に変化を感じる方もいます。ただしこれは臨床経験の範囲での傾向であり、医学的に確かめられた因果関係ではありません。内臓の状態そのものを判断するものでもないため、お腹の症状が気になる場合は医療機関でご相談ください。

整体師として考えていることは、noteにも書いています。
→ https://note.com/honest_rose9929

仕事を変えられない人が知っておきたい体の見方と整え方の方向性

多くの方にとって、首や肩がつらいからといって仕事を変えるのは現実的ではありません。だからこそ大切なのは、「どこがこっているか」だけでなく「仕事中、どんな姿勢で止まっているか」に目を向けることです。まずは次のような点を振り返ってみてください。

  1. 一日のうち、同じ姿勢のまま止まっている時間はどれくらいあるか
  2. 立っているとき、座っているとき、体重はどちらに偏りやすいか
  3. 集中しているときに、息を止めたり浅くなったりしていないか

整え方としては、同じ姿勢を長く続けない工夫、胸の前や肋骨が動ける余地をつくる方向、足元や骨盤から見直す方向などが考えられます。厚生労働省も、パソコンなどを使う情報機器作業について、作業姿勢や作業の合間の休止についてのガイドラインを示しています。デスクワークの姿勢を見直すときの一般的な目安として参考になります。

セルフケアについて整体師としてどう考えているかは、noteにも書いています。
→ https://note.com/honest_rose9929

日々の施術のなかで私たちが大切にしているのは、首や肩のつらいところだけで終わらせないことです。痛いところも触りますし、痛くないところも触ります。胸郭、横隔膜、骨盤、足元まで、関係していると考えられる部位をあわせて確認します。私(鈴木大樹)は柔道整復師の資格を持ち、現在もオステオパシーの専門校で学んでいます。その学びをもとに、仕事ごとの体の使い方にも目を向けながら施術を組み立てています。体の受け止め方には個人差があります。

なお、腕や手のしびれ、力が入りにくい感じ、強い頭痛やめまい、発熱、胸の痛みや息苦しさがある場合や、安静にしていても痛みが強くなる場合は、頸椎椎間板ヘルニアや心臓の病気など、医療機関での確認が必要な病気が隠れていることもあります。こうした症状がある場合や強い痛みが続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

まとめ

首こり・肩こりは、仕事によって負担のかかり方が違います。デスクワークでは頭が前に出たまま止まる形、医療や介護の現場では前かがみで重さを受け止める形、立ち仕事では足元からの傾きが上へ伝わる形になりやすく、その張力は筋膜の連続性を通じて首や肩へ届くと考えられます。さらに呼吸の浅さや肋骨の硬さ、横隔膜まわりの状態も重なります。仕事を変えられなくても、自分の姿勢のくせを知ることが体を整える第一歩になります。

免責事項:本記事は個人の体験談および一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断・治療に代わるものではありません。同様の効果を保証するものではありません。持病のある方・服薬中の方は生活習慣の変更前に必ず主治医にご相談ください。

参考文献

本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。

  1. Ergonomic interventions for preventing work-related musculoskeletal disorders of the upper limb and neck among office workers(Cochrane Database Syst Rev 2018) PubMed

よくある質問

Q. デスクワークの肩こりと立ち仕事の肩こりは原因が違うの?

A. どちらも首や肩の筋肉が硬くなる点は同じですが、負担の入り方が異なります。座りっぱなしでは頭が前に出て首の後ろ側が引き伸ばされやすく、立ち仕事や前かがみ作業では腰や背中からの引っぱりが首まで伝わることがあります。

Q. 肩を揉んでもすぐ戻るのはなぜ?

A. 筋膜は頭から足まで連続しているため、肩そのものより胸の前側や肋骨、骨盤まわりの緊張が首や肩を引っぱり続けていることがあります。揉んだ場所がゆるんでも、引っぱる側が変わらなければ元の状態に戻りやすいと考えられます。

Q. 首こりで病院に行ったほうがいいのはどんなとき?

A. 腕や手のしびれ、力の入りにくさ、強い頭痛やめまいを伴うとき、安静にしても痛みが強くなるときは、頸椎症などの可能性もあるため整形外科などの医療機関を受診してください。整体は受診で状態を確認したうえで検討しましょう。

鈴木大樹

鈴木大樹(すずき だいき)

柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了

茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。

さらに深く知りたい方へ

デスクワークやスマホの姿勢と首・肩のつらさについて、研究で言えることと言えないことを分けて、noteに書いています。

・「座りっぱなしだから、首と肩がつらい」は、どこまで本当か|デスクワークと首・肩の研究を、言えること・言えないことに分けて読む(有料)
・「スマホを見る姿勢のせいで、首が痛いのでしょうか」|首の角度と痛みの研究を、関連あり・関連なしの両方から同じ物差しで読む(有料)
・揉んでも戻ることについて、痛い場所だけでは終わらないと整体師が考える理由(有料)

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