かかとの痛みが朝つらい原因|足底腱膜と保存療法の研究

オステオパシー
この記事は個人の体験談と参考書籍をもとにした健康情報です。医療的な診断・治療に代わるものではありません。持病のある方・服薬中の方は必ず主治医にご相談ください。
かかとの痛みが朝つらい原因の挿絵(水彩)

朝、布団から出て最初の一歩を踏み出した瞬間、かかとにズキッと走る痛み。少し歩くと和らぐのに、翌朝にはまた同じ痛みが戻ってくる。足底腱膜炎を疑いながら「このまま手術になるのでは」と不安を抱えている方もいるかもしれません。レビュー論文では、ストレッチなどの保存的なケアが第一選択とされ、多くは手術以外の方法で経過が良好と報告されています。この記事では、電気ドライニードリングを加えた研究や、かかとの痛みに足底腱膜以外の要因が関わりうるという指摘を、柔道整復師でありオステオパシーを学ぶ整体師の視点から、論文の範囲内で読み解きます。

朝の一歩目にかかとが痛むのはなぜか|足底腱膜炎と保存療法という考え方

足底腱膜は、踵骨(かかとの骨)から足指の付け根に向かって扇状に広がる、厚くて丈夫な膜です。足裏のアーチを下から支え、歩くたびに伸び縮みしながら衝撃を受け止めています。この膜がかかとに付く部分の周辺に痛みが出る状態が、一般に足底腱膜炎と呼ばれています。炎症だけでなく組織そのものの変化が関わるとも言われ、「足底腱膜症」という呼び方が使われることもあります。

なぜ「朝の一歩目の痛み」が目立つのか

朝の一歩目の痛みについては、次のように説明されることが多いです。

  • 眠っている間、足首はつま先が下を向いた状態になりやすく、足底腱膜も縮んだ位置で休んでいる
  • 起き上がって体重をかけた瞬間、縮んでいた膜が急に引き伸ばされる
  • 歩いているうちに組織が少しずつ動き出し、痛みが和らいだように感じる

長時間座ったあとの立ち上がりで同じような痛みが出る方がいるのも、同じ仕組みで説明されることがあります。

保存療法とは何を指すのか

保存療法とは、手術をせずに体の状態を見ていく方法の総称です。足底腱膜炎の場合、ストレッチなどの運動療法、手で組織にアプローチする徒手療法、温熱や電気などを使う物理療法、靴や中敷きの見直しなどが含まれるとされています。

レビュー論文では、ストレッチなどの保存的なケアが第一選択とされ、多くは手術以外の方法で経過が良好と報告されています。手術を考えるのは、こうしたケアを続けても状態が変わらない場合など、限られた場面と位置づけられています。「足底腱膜炎=手術」と身構えなくてよい、というのが研究から見えてくる全体像です。ただし経過のスピードは人によって異なり、時間をかけて変化を見ていく姿勢が大切になります。

足底腱膜に負担が集まる仕組み|ふくらはぎ・アキレス腱・足のアーチの連動

かかとの痛みを足裏だけの問題として見ると、見落としが出やすくなります。足底腱膜は、足首やふくらはぎと仕組みのうえでつながっているからです。

ウィンドラス機構という足の巻き上げ装置

歩くとき、地面を蹴り出す直前に足の指は反り返ります。このとき足底腱膜が指の付け根で巻き取られるように引っぱられ、アーチが持ち上がって足全体が硬いレバーのようになります。これがウィンドラス機構(船の錨を巻き上げる装置になぞらえた呼び名)です。

この仕組みのおかげで、私たちは効率よく地面を押して前に進めます。一方で、蹴り出しのたびに足底腱膜には張力がかかります。歩く量が急に増えた、立ち仕事が続いた、硬い床で過ごす時間が長いといった条件が重なると、かかとの付着部に負担が集まりやすくなると考えられています。

アキレス腱とふくらはぎの硬さが関わる理由

ふくらはぎの筋肉はアキレス腱となって踵骨に付き、その踵骨から足底腱膜が足裏へ続いています。解剖学では、これらの組織に連続性があると説明されることがあります。

  • アキレス腱とふくらはぎの硬さがあると、足首が上に曲がりにくくなる
  • 足首の動きが足りない分を、足裏のアーチが余分に伸びて補おうとする
  • その結果、足底腱膜への張力が増えている可能性がある

足底腱膜炎とふくらはぎの柔軟性の関連は、研究でもたびたび取り上げられてきました。レビュー論文で保存的なケアの代表としてストレッチが挙げられているのも、こうした背景があるためです。

これまで診てきた範囲では、かかとの痛みを訴える方のなかに、ふくらはぎの張りや足首の動きの硬さが目立つ方が少なくない印象があります。ただし、これは施術の現場で感じている傾向であり、すべての方に当てはまるわけではありません。

どの方向から体をゆるめていくかという考え方はありますが、具体的な手順はここでは書きません。セルフケアについて整体師としてどう考えているかは、noteにも書いています。
→ https://note.com/honest_rose9929

かかとの痛みは足底腱膜だけでは説明しきれない|徒手療法とドライニードリングの研究から

電気ドライニードリングを加えたRCTの結果

足底腱膜炎に関するランダム化比較試験(RCT、参加者を無作為に分けて比べる研究方法)では、運動療法・徒手療法・物理療法に電気ドライニードリングを加えた群で、痛みや機能の改善がより大きかったと報告されています。ドライニードリングとは、筋肉の硬くなった部位などに細い針を刺す手技で、そこに微弱な電気を流すものが電気ドライニードリングと呼ばれます。

この結果から読み取れるのは、次のような点です。

  1. 比較の土台そのものが、運動療法・徒手療法・物理療法を組み合わせた保存療法であること
  2. 足裏だけでなく、周りの筋肉などへのアプローチを重ねる考え方が研究されていること
  3. あくまで一つの研究の条件下での結果であり、誰にでも同じ経過を示すものではないこと

なお、ドライニードリングは日本ではまだ一般的な名称ではなく、針を使う手技にあたります。関心がある場合は、受けられる場所や施術者の資格について、医療機関や専門家に確認してください。

かかとの痛みに関わりうる、足底腱膜以外の要因

研究では、かかとの痛みには足底腱膜以外の要因も関与している可能性が示されています。一般には、次のようなものが挙げられることがあります。

  • かかとのクッションである足底脂肪体の厚みや弾力の変化
  • 足の内側や足裏を通る神経が圧迫されることによる痛み
  • 踵骨そのものの疲労骨折など、骨の問題
  • 腰や股関節など、離れた部位からの影響

「足底腱膜炎だと思っていたら別の要因が関わっていた」ということもありえるため、自己判断だけで決めつけないことが大切です。しびれがある、腫れや熱感が強い、安静にしていても痛む、ぶつけたり転んだりした後から痛む、といった場合や、痛みが強い・長く続く場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

整体師として考えていることは、noteにも書いています。
→ https://note.com/honest_rose9929

手術しない選択肢を考えるとき整体師が大切にしている視点|体全体を見るオステオパシー

研究の流れを見ると、足底腱膜炎への向き合い方は「痛む一点をどうするか」から「負担がかかる理由を含めてどう見るか」へと広がっています。オステオパシーの考え方も、この方向とよく重なります。

痛いところだけでは終わらない

オステオパシーでは、体を部分の寄せ集めではなく、筋膜や関節を通してつながった一つのまとまりとして捉えます。かかとに負担が集まる背景として、次のような部位もあわせて確認します。

  • 足首や足指の関節の動き
  • ふくらはぎ、太ももの裏側の張り
  • 膝や股関節の向き、骨盤の動き
  • 立ち方や歩き方の左右差

もちろん、痛みのあるかかとや足裏も触ります。そのうえで、痛くないところも触り、関係していると考えられる部位に施術します。茨城県龍ケ崎市にある、すーさん夫婦の龍ケ崎整体院の施術の現場では、かかとの痛みで来られた方の体を見ていくと、反対側の股関節や骨盤の動きに左右差がある方もいて、足だけを見ていては気づけなかったと感じることがあります。これも臨床の傾向であって、医学的な事実として断言できるものではありません。

学んできたことと、できないこと

私(鈴木大樹)は柔道整復師(国家資格)で、オステオパシーの専門校で学んでいます。国際セミナーでは下肢ストラクチャーなど、下肢の構造へのアプローチも受講してきました。ただし、これは学んだ内容であって、病名を診断したり治療したりできるという意味ではありません。画像検査や診断が必要な場面では、医療機関での判断が先になります。

手術しない選択肢を考えるとき大切なのは、医療機関での確認と、日々の体の使い方の見直しを両立させることだと考えています。整体やオステオパシーは、そのなかで体全体の動きを確かめ、整えていく一つの方法です。約45分の施術のなかで、どこにどう負担がかかっていそうかを一緒に確かめていく時間を大切にしています。

まとめ

朝の一歩目にかかとが痛む足底腱膜炎について、レビュー論文ではストレッチなどの保存的なケアが第一選択とされ、多くは手術以外の方法で経過が良好と報告されています。運動療法・徒手療法・物理療法に電気ドライニードリングを加えたRCTでは改善がより大きかったという結果もあり、複数の方向から体を見る考え方が研究されています。一方で、かかとの痛みには足底腱膜以外の要因が関わることもあります。気になる症状が続くときは医療機関で確認しつつ、体全体のつながりにも目を向けてみてください。

免責事項:本記事は個人の体験談および一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断・治療に代わるものではありません。同様の効果を保証するものではありません。持病のある方・服薬中の方は生活習慣の変更前に必ず主治医にご相談ください。

参考文献

本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。

  1. Electrical dry needling as an adjunct to exercise, manual therapy and ultrasound for plantar fasciitis: A multi-center randomized clinical trial(PLoS One 2018) PubMed
  2. Diagnosis and management of plantar fasciitis(J Am Osteopath Assoc 2014) PubMed
  3. Plantar heel pain(J Bodyw Mov Ther 2017) PubMed

よくある質問

Q. 足底腱膜炎って手術しないと良くならないの?

A. レビュー論文では、ストレッチなどの保存的なケアが第一選択とされ、多くは手術以外の方法で経過が良好と報告されています。ただし変化には数か月単位の時間がかかることもあり、痛みが長引く場合は整形外科で相談することが大切です。

Q. かかとの痛みって足底腱膜炎以外の原因もあるの?

A. 研究では、かかとの痛みに足底腱膜以外の要因が関与している可能性も示されています。神経の圧迫、かかとの脂肪体の変化、骨の問題などが挙げられ、しびれや腫れ、安静時の強い痛みがある場合は医療機関での鑑別が必要です。

Q. ドライニードリングって鍼と同じ?足底腱膜炎にも使われるの?

A. 細い針を筋肉の硬くなった部位に刺す手法で、電気を流す方法もあります。RCTでは、運動療法・徒手療法・物理療法に電気ドライニードリングを加えた群で痛みや機能の改善がより大きかったと報告されています。受ける際は資格を持つ専門家に相談を。

鈴木大樹

鈴木大樹(すずき だいき)

柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了

茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。

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