慢性の痛みが続くときの食事|炎症と腸の関係

自然療法
この記事は個人の体験談と参考書籍をもとにした健康情報です。医療的な診断・治療に代わるものではありません。持病のある方・服薬中の方は必ず主治医にご相談ください。

痛み止めや通院を続けていても、なんとなく重い痛み、下腹部の張り、お腹の不調が残る——そんな声は少なくありません。近年、線維筋痛症に対して地中海食の性質を検討したレビューや、子宮内膜症で食事・栄養面の調整と骨盤底の理学療法を組み合わせる多面的な取り組みが報告されています。食事は治療の代わりではなく、慢性的な不調と付き合っていくための補助的な選択肢。その「なぜ」を、身体の仕組みからゆっくり読み解いていきます。

治療を続けても痛みと消化器症状が残るのはなぜか

線維筋痛症や子宮内膜症と診断され、薬物治療や手術を経ても、痛みの波と消化器症状が残り続ける。この「残り方」には、いくつかの層が重なっていると考えられます。

痛みを感じる側の変化

慢性的な痛みが長く続くと、痛みの信号を受け取る神経系そのものが敏感になっていく状態(中枢性感作)が関わることがあると言われています。この場合、痛みの発生源を処置しても、受け取る側の感度が下がるまでには時間がかかります。つまり「原因は取れたのに痛い」という現象は、決して気のせいではなく、理由があると考えられます。

お腹の不調が併走しやすい理由

もうひとつの層が、腸の状態です。腸管は免疫細胞が集中する場所であり、腸の粘膜環境と全身の炎症反応は連動しやすいと考えられています。子宮内膜症では骨盤内の癒着や炎症が腸に近接して起こるため、便通の変化や腹部膨満といった消化器症状が重なりやすくなります。線維筋痛症でも、腹部症状を併せ持つ方は珍しくありません。

施術の現場では、痛みの相談で来られた方に消化器症状 食生活のことをうかがうと、「そういえば食後に必ず張る」「生理前だけお腹が不安定になる」と後から出てくることがよくあります。痛みとお腹は、本人の中でも別々の悩みとして分けられていることが多いのです。

なお、強い痛み、発熱、急な体重減少、出血の異常、しびれを伴う場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。食事の工夫はあくまで治療と並走するものです。

抗酸化・抗炎症・低抗原性——地中海食が注目される生理学的な理由

研究では、地中海食が持つ抗酸化・抗炎症・低抗原性という性質が、線維筋痛症の症状緩和に関わる可能性が検討されたと報告されています。ここで大切なのは「効く食事」という話ではなく、なぜこの三つの性質が慢性痛の文脈で取り上げられるのか、という点です。

  • 抗酸化:酸化ストレスは細胞の損傷に関わるとされ、慢性的な痛みを抱える方で酸化ストレスの指標が注目されてきました。野菜・果物・オリーブオイルなどに多く含まれる成分は、この方向に働くと考えられています。
  • 抗炎症:脂肪酸のバランスは、体内で作られる炎症性の伝達物質の材料になります。抗炎症 食事という考え方は、この材料の比率に目を向けるものです。
  • 低抗原性:免疫が過剰に反応しやすい成分が少ない食べ方は、腸の粘膜と免疫系にかかる負荷を減らす方向に働く可能性があります。

子宮内膜症についても、手術や薬物治療に加えて、食事・栄養面からの調整や骨盤底の理学療法などを組み合わせる多面的な取り組みが、慢性的な痛みや消化器症状の管理を支える補助手段として注目されているという報告があります。線維筋痛症 食事療法も、子宮内膜症 食事の話も、共通して「治療を置き換えるもの」ではなく「治療を支える側」として語られている点は押さえておきたいところです。

私自身の食生活の話

私は平日はほぼ植物中心の食事、週末はBBQや刺身も食べるというゆるいスタイルを続けています。食生活を変えてから痛風発作が出なくなってきた感覚があり、血圧の数値も落ち着いてきたように感じています(個人の体験です。同じ変化を保証するものではありません)。極端に切り替えたわけではなく、比率をずらしただけ、というのが実感に近いところです。

腸と骨盤底、内臓膜のつながりを整体師・オステオパシーの視点で読む

ここからは手技の世界の見方です。オステオパシーでは、内臓は袋の中に浮いているのではなく、膜(腹膜や靭帯)で吊られ、呼吸のたびにわずかに動いている構造体として捉えます。腹膜は体内でもっとも広い膜のひとつで、炎症や手術のあとに滑りが悪くなりやすい組織でもあります。

このとき起こるのが、いわゆる連鎖です。ひとつの動きの制限は、隣り合う構造すべてに波及していきます。たとえば

  • S状結腸まわりの動きの制限が、子宮の傾きや左の坐骨神経痛に似た症状と関係する場合があると言われています
  • 回盲部(右下腹部)の制限が、右の卵巣周囲の不調と重なることがあります
  • 横隔膜の動きが浅くなると、その下にある肝臓・胃・腎臓の移動量が減ります

腎臓は一呼吸ごとに数センチ動き、一日に換算すると相当な移動距離になります。わずかな制限でも、それが何万回と繰り返されれば、構造への影響は無視できないものになっていく可能性があります。慢性痛が「どこか一点」で説明しきれないのは、この積み重ねがあるからだと考えられます。

骨盤底という出口

骨盤底は、内臓の重みを下から支えながら、排泄のときだけ開くという相反する役割を担っています。腹部の圧力が高い状態が続いたり、尾骨まわりの動きが乏しくなったりすると、この開閉の切り替えがうまくいかなくなることがあります。子宮内膜症の多面的アプローチで骨盤底 理学療法が挙がるのは、痛みの体験が骨盤底の緊張と相互に影響し合うためだと考えられます。

そして腸の内容物の質——つまり食事——は、この骨盤の底にかかる圧力そのものを日々変えています。食事と手技が別の話ではないのは、この一点からも見えてきます。

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食習慣を「補助的な選択肢」として位置づける整体師の考え方

ここまで読んで、「じゃあ何を食べればいいのか」と思われたかもしれません。ただ、慢性的な痛み セルフケアの入り口として食事を考えるとき、私が大事にしているのは順番です。

  1. 診断と治療は医療機関で継続する。食事はその代わりにはなりません。
  2. いま食べているものを記録してみる。変えるより先に、痛みや張りとの関係を眺めてみる。
  3. 比率を少しずらす。完璧な献立より、続く形を優先する。

興味深いのは、身体に合わない食べ物ほど強く惹かれることがある、という手技の世界での観察です。月経前にチョコレートやワインへの反応が変わる方が多いのも、単なる気分の問題ではない可能性があります。「やめられないもの」は、実は身体の状態を示している場合があるわけです。

すーさん夫婦の龍ケ崎整体院では、茨城県龍ケ崎市で夫婦2人(ともに柔道整復師・国家資格)で施術を行っています。私はオステオパシーの専門校にて学習中で、内臓や骨盤まわりに関する国際・国内セミナーも受講してきました。ただしこれは学んだ内容であって、それらを診断・治療できるという意味ではありません。日々の施術のなかでは、腹部の膜の動きや呼吸の深さ、骨盤底まわりの緊張の出方を確認し、痛みの出ている場所だけでなく、関係していると考えられる部位もあわせて触れていきます。所要は約45分です。

食事や体操の具体的な手順については、記事では扱っていません。セルフケアの具体的な方法は、noteの記事で詳しく解説しています。 → https://note.com/honest_rose9929

まとめ

慢性の痛みと消化器症状が並走するとき、そこには神経の感度、腸と免疫の環境、内臓と膜の動き、骨盤底の緊張といった複数の層が重なっていると考えられます。地中海食が注目されるのは、抗酸化・抗炎症・低抗原性という性質が、この層のいくつかに触れる可能性があるからです。食習慣の見直しは治療の代わりではなく、長い付き合いになる不調とともに歩くための補助的な選択肢。焦らず、続く形から始めてみてください。症状が強いときは必ず主治医にご相談を。

免責事項:本記事は個人の体験談および一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断・治療に代わるものではありません。同様の効果を保証するものではありません。持病のある方・服薬中の方は生活習慣の変更前に必ず主治医にご相談ください。

参考文献

本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。

  1. Mediterranean diet and its low-antigenic and anti-inflammatory properties on fibromyalgia: a systematic review(Clin Exp Rheumatol 2025) PubMed
  2. Dietary and Nutritional Interventions for the Management of Endometriosis(Nutrients 2024) PubMed

よくある質問

Q. 地中海食にすれば線維筋痛症の痛みは軽くなりますか?

A. 食事だけで症状がなくなるという意味ではありません。研究では抗酸化・抗炎症・低抗原性という性質が症状緩和に関わる可能性が検討された段階で、通院や薬物治療を続けながらの補助的な選択肢として考えられています。

Q. 子宮内膜症の痛みに食事は関係しますか?

A. 手術や薬物治療に加えて、食事・栄養面の調整や骨盤底の理学療法を組み合わせる多面的な取り組みが、慢性的な痛みや消化器症状の管理を支える補助手段として注目されているという報告があります。主治医と相談しながら検討してください。

Q. お腹の張りと腰や骨盤まわりの重さは関係がありますか?

A. 腸の膨満や内臓まわりの緊張は、横隔膜や骨盤底といった体幹の圧のバランスに影響します。結果として腰や股関節まわりの負担感につながることがあり、身体構造と内臓の状態は切り離せないと考えています。

鈴木大樹

鈴木大樹(すずき だいき)

柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了

茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。

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