首こりでMRI異常なし|画像と症状のズレ

肩こり
この記事は個人の体験談と参考書籍をもとにした健康情報です。医療的な診断・治療に代わるものではありません。持病のある方・服薬中の方は必ず主治医にご相談ください。

「骨には異常ありません」「年齢相応の変性ですね」。そう言われても、首の重さやだるさは毎日続いている。この食い違いは、あなたの気のせいではありません。症状のない方の頸椎MRIでも、変性所見は加齢とともに高い割合で見つかることが報告されています。画像に映るものと、今つらいものは、必ずしも同じではないのです。この記事では、画像所見と症状がずれる理由を、整体師の目線から構造と膜のつながりで読み解いていきます。

「異常なし」と言われても首こりが続くのはなぜか

整形外科でレントゲンやMRIを撮り、「頸椎椎間板変性が少しありますが、年齢相応です」と説明を受けた。けれど首の付け根は重いままで、夕方になると頭まで痛くなる。こうした経験をお持ちの方は少なくありません。

ここで大切なのは、画像検査の役割を正しく理解しておくことです。MRIやレントゲンは、骨の形・椎間板の水分量・神経の通り道の広さといった「かたち」を写す検査です。一方で、首こりとして感じているつらさは、筋肉の持続的な収縮、関節の動きの偏り、血流やリンパの滞り、自律神経の働きといった「はたらき」の問題であることが多いと考えられています。かたちに大きな破綻がなくても、はたらきが偏っていれば症状は出ます。

逆に言えば、画像で変性が見つかったからといって、それがそのまま今日の首の重さをつくっているとは限りません。「首の痛みで検査しても異常なし」と言われて戸惑う方が多いのは、このかたちとはたらきのズレが説明されにくいからだと感じています。

画像検査が必要な場面もある

もちろん、画像検査が不要という話ではありません。手指のしびれが広がる、箸が使いにくい、ボタンがかけにくい、足がもつれる、首を動かすと電気が走る、発熱や原因不明の体重減少を伴う。こうした症状・状態が続く場合や強い痛みがある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。整体で扱う範囲かどうかを見極めるためにも、医師の評価は重要な情報になります。

無症状の人にも変性はある|画像所見と症状がズレる理由

「画像と症状は必ずしも一致しない」というのは、整体師の経験則ではなく、研究でも示されている視点です。

研究では、首の症状がない方497名の頸椎MRIを調べたところ、椎間板の変性所見は加齢とともに増加し、60歳以上では8割以上に見られたと報告されています。つまり、無症状の椎間板変性はごく一般的に存在しているということです。さらに、1230名の無症状者と頸椎症性脊髄症の患者さんを比較した研究でも、骨の形態や頸椎の可動域に加齢変化がみられたとされ、画像所見と症状が必ずしも一致しない可能性が示されています。

この二つの報告を並べると、見え方が変わってきます。

  • 頸椎症の画像所見は、年齢を重ねた首であれば珍しいものではない
  • 頸椎の可動域の加齢変化も、症状のない方に同様に起こりうる
  • したがって「変性がある=それが今の首こりの発生源」とは言い切れない

髪が白くなる、肌の質感が変わるのと同じように、椎間板の水分が減り、骨の縁がわずかに変化していくことは、生きてきた時間の記録でもあります。それ自体を敵と見なすと、「もう年だから仕方ない」という諦めか、「変性のせいだ」という思い込みのどちらかに傾いてしまいがちです。

では何を見ればよいのか。施術の現場で手がかりにしているのは、同じ年齢・同じような画像所見でも、つらい方とそうでない方がいるという事実のほうです。その差は、かたちではなく、首とその周囲がどう動き、どう支えられているかという使われ方の側にあると考えられます。

画像に映らない首こり|筋膜・頭蓋・内臓のつながりから読み解く

ここからはオステオパシーを学ぶ整体師の視点です。医学的な確定事項ではなく、解剖の連続性と臨床で感じている傾向としてお読みください。

首は首だけで立っていない

首の深いところには、頭蓋骨の底から頸椎・胸椎へと連なる深層頸筋(頭長筋・頸長筋など、表面からは触れにくい首の奥の筋群)があります。この層はさらに、胸の奥の膜、横隔膜、心臓を包む膜へと膜組織としてつながっています。いわゆる筋膜連続性(身体を包む膜が途切れずつながっている構造)の考え方です。

ここが意味するのは、首の深層にかかる張力は、必ずしも首で発生したものとは限らないということです。たとえば呼吸が浅く、横隔膜の上下動が小さい状態が続けば、胸の奥の膜の張力は上方へ伝わります。肩をすくめる姿勢が常態化すれば、その張力は後頭部の付け根へと集まります。レントゲンやMRIは、この張力の分布を写しません。だから「異常なし」なのに重い、という状況が起こりえます。

内臓と膜系のつながり

オステオパシーの内臓への視点では、横隔膜の下にある肝臓や胃の位置・動きが、横隔膜を介して上方の構造に影響しうると考えられています。横隔膜を支配する横隔神経は首の神経(C3〜C5)から出ているため、解剖学的にも首と横隔膜は無関係ではありません。これまで診てきた範囲では、肩こりと頭痛が同時に続く方で、首だけでなく呼吸に関わる部位や横隔膜まわりをあわせて確認すると、首の動かしやすさに変化を感じる方がいます。断定はできませんが、首だけを見ていては届かない領域があると感じています。

頭蓋と骨盤の連続

頭蓋の内側の膜は、脊柱管の中を通って仙骨まで連続しています。そのため骨盤の傾きや仙骨の動きの偏りが、遠回りに後頭部付近の張力へ関わることがあります。「肩こりの原因がわからない」と感じている方ほど、原因を首の一点に求めず、身体を一つのつながりとして眺め直す必要があるのかもしれません。

整体師として考えていることは、noteにも書いています。整体師として考えていることは、noteにも書いています。
→ https://note.com/honest_rose9929

整体師は首をどう見ているか|構造・食・全体性の三軸で考える

茨城県龍ケ崎市で開いているすーさん夫婦の龍ケ崎整体院では、BODY(構造・内臓・頭蓋)× MIND(食事・自然療法)× SPIRIT(全体性)という三つの軸で身体を見ています。首こりに置き換えると、次のような確認になります。

  1. 構造:頸椎の可動域だけでなく、胸郭の動き、肩甲骨の位置、骨盤の傾き、足元の支え方まで含めて、どこで動きが肩代わりされているかを見る
  2. 呼吸と内臓:横隔膜の上下動、肋骨の広がり、腹部の緊張。関係していると考えられる部位もあわせて確認します
  3. 生活の背景:睡眠、食事の内容と時間帯、画面を見る姿勢、ストレスのかかり方

手技としては、痛む首だけを揉んで終わりにはしません。痛いところも触りますが、痛くないところも触ります。深層頸筋や後頭下の張力は、強く押せば押すほど防御的に硬くなることがあるため、圧の強さや触れる時間を調整しながら、周辺の膜の張力から順に確認していきます。施術は約45分です。

食が首に関係することもある

私自身、平日はほぼ植物中心の食事、週末はBBQや刺身も食べるというゆるいスタイルに変えてから、身体のベースラインが変わった感覚があります(個人の体験です)。食事の内容は消化器の負担や全身の循環に関わるため、首の張りとも無関係ではないと考えています。
食と身体のつながりについては、noteで整体師の実体験とともに詳しく書いています。→ https://note.com/honest_rose9929

龍ケ崎やその周辺から来られる方の中にも、長く画像検査の結果と自分の感覚のズレに悩んできた、という方がいます。日々の施術のなかで私たちが大切にしているのは、画像所見を否定することではなく、画像に写らない部分にも見るべきものがあるという姿勢です。なお、柔道整復師(国家資格)として施術していますが、診断は医師の領域です。気になる症状がある場合は、まず医療機関でご相談ください。

まとめ

症状のない方の頸椎MRIでも椎間板変性は加齢とともに増え、60歳以上では高い割合で見つかると報告されています。画像所見と症状は必ずしも一致しません。だからこそ、首こりを「変性のせい」と結論づける前に、呼吸、胸郭、骨盤、膜の張力、生活の背景まで含めて身体全体を眺めてみる価値があります。つらさが続く場合や強い痛み・しびれがあるときは、自己判断せず医療機関にご相談ください。

免責事項:本記事は個人の体験談および一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断・治療に代わるものではありません。同様の効果を保証するものではありません。持病のある方・服薬中の方は生活習慣の変更前に必ず主治医にご相談ください。

参考文献

本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。

  1. Age-Related and Degenerative Changes in the Osseous Anatomy, Alignment, and Range of Motion of the Cervical Spine: A Comparative Study of Radiographic Data From 1016 Patients With Cervical Spondylotic Myelopathy and 1230 Asymptomatic Subjects(Spine (Phila Pa 1976) 2016) PubMed
  2. MRI of cervical intervertebral discs in asymptomatic subjects(J Bone Joint Surg Br 1998) PubMed
  3. Disc degeneration of cervical spine on MRI in patients with lumbar disc herniation: comparison study with asymptomatic volunteers(Eur Spine J 2011) PubMed

よくある質問

Q. MRIで異常なしなら、首こりは気のせいなのでしょうか?

A. いいえ。画像は骨や椎間板の形を映すもので、筋膜の滑走性や血流、自律神経の状態までは写りません。形に異常がなくても、動きや緊張の偏りが首の重さにつながることは十分に考えられます。

Q. 「年齢相応の変性」と言われました。放っておいて大丈夫ですか?

A. 無症状の方497名の頸椎MRIでも変性所見は加齢とともに増え、60歳以上では8割以上に見られたと報告されています。変性自体は珍しいものではなく、経過観察で問題ないか医師の判断を仰ぎつつ、動きの質を保つ視点が役立ちます。

Q. 画像所見と症状が一致しないことは本当にあるのですか?

A. はい。無症状者1230名と頸椎症性脊髄症の方を比べた研究でも、骨形態や可動域の加齢変化が示されており、画像の変性所見がそのまま今の症状の原因とは限らない可能性が指摘されています。

鈴木大樹

鈴木大樹(すずき だいき)

柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了

茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。

さらに深く知りたい方へ

デスクワークやスマホの姿勢と首・肩のつらさについて、研究で言えることと言えないことを分けて、noteに書いています。

・「座りっぱなしだから、首と肩がつらい」は、どこまで本当か|デスクワークと首・肩の研究を、言えること・言えないことに分けて読む(有料)
・揉んでも戻ることについて、痛い場所だけでは終わらないと整体師が考える理由(有料)

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