運動しても膝の痛みが続く理由|食事の減量と炎症の関係

自然療法
この記事は個人の体験談と参考書籍をもとにした健康情報です。医療的な診断・治療に代わるものではありません。持病のある方・服薬中の方は必ず主治医にご相談ください。
運動しても膝の痛みが続く理由の挿絵(水彩)

膝のためにウォーキングや筋トレを続けているのに、痛みがなかなか引かない。施術の現場では、そんな声をよく耳にします。運動は膝を支える大切な習慣ですが、膝の痛みを運動だけで考えていると、二つの視点が抜け落ちていることがあります。ひとつは、毎日の膝関節への負荷として積み重なる体重の負担。もうひとつは、体の中で静かに続く炎症です。この記事では、食生活の見直しを自ら体験してきた柔道整復師の立場から、食事による減量と膝の関係を身体の仕組みでひもといていきます。

運動しても膝の痛みが続くのはなぜか|体重管理を運動だけで考える落とし穴

膝は、立つ・歩く・しゃがむといった日常の動作で、体重を受け止め続けている関節です。平らな道を歩くだけでも体重以上の力がかかり、階段の上り下りや椅子からの立ち上がりでは、さらに大きな力が膝にかかると一般に説明されています。一日に何千歩と歩くことを考えると、体重の負担は「一度の重さ」ではなく「回数のかけ算」で膝に積み重なっていくものです。

運動で使うエネルギーは思ったより小さい

膝のために体重を落とそうとして、まず運動を増やす方は多いと思います。ただ、運動で消費するエネルギーは、食事から摂るエネルギーと比べると小さいのが一般的です。さらに、運動のあとは食欲が増しやすく、気づくと食べる量も増えていることがあります。厚生労働省の健康づくりの情報でも、体重管理は食事と身体活動の両面から考えるものとして扱われています。

痛む膝で運動量を増やすジレンマ

膝が痛いまま運動量を増やすと、次のような状況が起きやすくなります。

  • 痛みをかばって歩き方が変わり、反対側の膝や腰に負担が移る
  • 運動のあとに食欲が増え、体重が思うように変わらない
  • 「頑張らなければ」と、膝への負荷が高い運動を選んでしまう

運動を否定したいわけではありません。太ももやお尻の筋肉は膝を支える大切な存在です。ただ、膝の痛みに対して運動だけで向き合っていると、体重という負担の大部分が食事の側に残ったままになりやすい。ここが、運動を続けているのに膝の痛みが続くときに、見直してみたい一つ目の視点です。

膝の負担は体重だけではない|脂肪組織とIL-6が生む炎症の仕組み

二つ目の視点は、体の中の炎症です。脂肪組織は、単にエネルギーをためておく倉庫ではありません。生理学では、脂肪組織はさまざまな物質を分泌する「内分泌器官」としての側面を持つと説明されています。その中には、IL-6(インターロイキン6)やTNF-αといった炎症性サイトカイン(炎症を起こすよう体に指令を出す情報伝達物質)も含まれます。

本来は体を守るための物質

IL-6は、ケガや感染が起きたときに免疫の働きを呼び起こし、体を守るための物質です。本来は必要なときに出て、役目を終えれば引いていく一時的な反応です。ところが、脂肪組織、特にお腹まわりの内臓周囲の脂肪が多い状態では、こうした物質が少しずつ出続けることがあり、程度の低い炎症がくすぶり続ける慢性炎症の状態につながりうると考えられています。

膝にかかる二つの負担

血液に乗った炎症性の物質は、全身をめぐります。そのため、関節を包む膜や関節内の環境、さらには痛みの感じ方そのものにも関わる可能性がある、という見方があります。つまり膝には、

  1. 体重による物理的な負担(重さ)
  2. 脂肪組織に由来する炎症という化学的な負担(体の中の環境)

の二つが重なっている可能性があるということです。食事による減量で脂肪組織が小さくなる方向に向かえば、膝にかかる重さと、炎症性の物質の出どころの両方に関わる、という理屈になります。ただし、それによって膝の痛みがどう変わるかは人によって異なり、言い切れるものではありません。

整体師は膝だけを見ない|股関節・足首・内臓と筋膜のつながりから読む膝

膝は、股関節と足首にはさまれた「中継ぎ」の関節です。股関節の動きが硬かったり、足首の動きに左右差があったりすると、その分のねじれを膝が引き受けることになります。膝の痛みを膝だけの問題として見ていると、こうした上下からの影響が見えにくくなります。

筋膜のつながりで見る膝

筋肉を包む筋膜は、一つひとつの筋肉で区切られているわけではなく、骨盤から太もも、すね、足裏へと連続しています。この筋膜のつながりを考えると、骨盤まわりや足裏の張りが膝の動きに影響することも想像しやすいと思います。

内臓と膝の意外な位置関係

オステオパシーでは内臓も体の構造の一部として見ます。たとえば腎臓は、靭帯でがっちり固定されているわけではなく、周囲の脂肪や腹腔内の圧に支えられ、呼吸のたびに動いている臓器です。その腎臓の後ろには、腰の骨から太ももの骨へと走る大腰筋があります。内臓マニピュレーションの分野では、内臓の動きの制限が腰から脚、膝の内側にかけての違和感に関わることがあると説明されています。一つの制限をほかの部位がかばい、そのかばいをさらに別の部位がかばう、という連鎖の考え方です。お腹まわりに脂肪が増えると重心が前に移り、骨盤や膝の向きといった姿勢のバランスが変わることもあります。

すーさん夫婦の龍ケ崎整体院の施術の現場では、膝のつらさで来られた方でも、股関節の硬さやお腹まわりの張り、足首の左右差をあわせて確認すると、膝以外にも気になる点が見つかる傾向を感じることがあります。これは臨床で感じている傾向であって、医学的に確かめられた事実ではありません。痛い膝そのものにも触れたうえで、痛いところだけでは終わらずに、関係していると考えられる部位もあわせて確認するようにしています。

整体師として考えていることは、noteにも書いています。食と身体のつながりについては、noteで整体師の実体験とともに詳しく書いています。
→ https://note.com/honest_rose9929

食事と運動を切り分けない膝の見かた|整体師として大切にしている視点

私は施術の考え方を、BODY(骨格・内臓・頭蓋といった体の構造)、MIND(食事や自然療法といった暮らしの整え方)、SPIRIT(その人全体を見る視点)の三つの軸で捉えています。膝の痛みで言えば、運動は膝を支える筋肉と関節の動きを保つためのもの、食事は体重と体の中の環境に関わるもの。どちらが正しいかではなく、役割が違うと考えています。

私自身の食生活

私自身、食生活を見直してきた一人です。平日はほぼ植物中心の食事、週末はBBQや肉、刺身も食べる、というゆるいスタイルです。植物中心の食事は食物繊維が多く、量のわりにエネルギーが控えめになりやすいと一般に言われます。完璧を目指すより、続けられる形を探してきたなかで、体調の感じ方に変化を感じています(個人の体験です)。

食と身体のつながりについては、noteで整体師の実体験とともに詳しく書いています。
→ https://note.com/honest_rose9929

見直す前に知っておきたいこと

急な食事制限は、膝を支える筋肉まで落としてしまうことがあります。特に年齢を重ねた方や高齢者の場合、持病のある方、服薬中の方は、食事を大きく変える前に主治医にご相談ください。また、膝が腫れて熱を持つ、夜も痛む、曲げ伸ばしができない、しびれや発熱を伴うといった場合や、痛みが長く続く場合は、変形性膝関節症や半月板損傷などの確認が必要なこともあるため、自己判断せず整形外科などの医療機関にご相談ください。

茨城・龍ケ崎で日々膝のつらさと向き合うなかで私たちが大切にしているのは、膝を「体のほかの部分や暮らしとつながった場所」として見ることです。

まとめ

運動を続けているのに膝の痛みが続くとき、見落とされがちなのが体重の負担と体の中の炎症という二つの視点です。脂肪組織は炎症性サイトカインを出す器官でもあり、食事による体重管理は、膝にかかる重さと体の中の環境の両方に関わると考えられます。膝だけを見るのではなく、股関節や足首、内臓、筋膜のつながり、そして食事と運動を切り分けずに、体全体を見渡してみてください。

免責事項:本記事は個人の体験談および一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断・治療に代わるものではありません。同様の効果を保証するものではありません。持病のある方・服薬中の方は生活習慣の変更前に必ず主治医にご相談ください。

参考文献

本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。

  1. Effects of intensive diet and exercise on knee joint loads, inflammation, and clinical outcomes among overweight and obese adults with knee osteoarthritis: the IDEA randomized clinical trial(JAMA 2013) PubMed

よくある質問

Q. 膝が痛いときは運動より食事で体重を落とした方がいいの?

A. どちらか一方ではなく、膝が痛む時期は運動量を無理に増やすより、食事で体重の負担を見直すほうが膝への負担が少ない場合があります。痛みの強さや腫れがあるときは自己判断せず、まず整形外科などで状態を確認してください。

Q. 体重が少し減るだけで膝の負担って変わるの?

A. 歩くときや階段の上り下りでは、膝には体重の数倍の力がかかると一般に説明されています。そのため体重のわずかな変化でも、一歩ごとの負担が積み重なって膝全体の負担に差が出ます。数字だけにとらわれず続けやすい形を考えることが大切です。

Q. 太っていると膝に炎症が起きやすいって本当?

A. 脂肪組織は単なる貯蔵庫ではなく、IL-6などの炎症に関わる物質を出す組織だと考えられています。体重による物理的な負担に加えて、こうした体内の環境も膝の不快感に関わる可能性があります。腫れや熱感が続くときは医療機関で相談してください。

鈴木大樹

鈴木大樹(すずき だいき)

柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了

茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。

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