この記事は個人の体験談と参考書籍をもとにした健康情報です。医療的な診断・治療に代わるものではありません。持病のある方・服薬中の方は必ず主治医にご相談ください。
整体院で食事の話をすることは、あまり多くありません。皆さん、身体を診てもらいに来られているからです。
私が食の話を切り出すのは、たいてい「触っても、なかなか変わらないとき」です。施術で緩む。でも次に来られたときには、また同じところが硬い。それが何度か続いたとき、はじめて「食事も関係するかもしれません」と、触りだけお伝えします。
つまり食の話は、私にとって最初に出すものではなく、構造だけでは説明がつかないときに出てくるものです。このページは、その「説明がつかない部分」について、身体の仕組みとして分かっていることを一通り書いたものです。
整体師が、なぜ食事の話をするのか
身体を「構造」として見るとき、扱うのは骨や関節、筋肉や膜の並び方です。ここがずれていれば負担が出るし、動きが戻れば楽になります。
ただ、同じように施術をしても、戻りやすい方とそうでない方がいます。 その差がどこから来るのかを考えていくと、構造の外側——身体を作っている材料と、そこで起きている化学反応の話に行き当たります。
骨も筋肉も膜も、食べたものから作られています。そして痛みや緊張には、炎症という化学的な現象が関わっています。構造と栄養は、別々の話ではありません。
整体師として、実際に身体を触っていて感じること
ここからは、教科書ではなく、施術をしている中で感じていることを書きます。一般化できる話ではなく、あくまですーさん夫婦の龍ケ崎整体院に来られる方に多く見られる傾向です。
食生活を伺うと、胸のまわりの硬さと重なることがあります
ラーメンや揚げ物など、脂の多い食事が続いている方の身体を触っていると、胸郭——肋骨とその周囲——の硬さが強いと感じることがよくあります。
これは私にとって興味深い重なりです。というのも、肩こりの解説で書いたように、胸郭の硬さは肩こりの背景としてよく見つかる場所だからです。
食事 → 身体の内側の状態 → 胸まわりの硬さ → 肩こり。この線がつながっているように感じることが、実際にあります。 もちろん「ラーメンを食べると肩がこる」という単純な話ではありませんし、そう証明できるものでもありません。ただ、触っている側の実感として、無関係とも思えないのです。
おなかの不調を抱えている方が多い
身体の不調で来られる方に生活を伺うと、便秘気味の方、おなかの調子が不安定な方(過敏性腸症候群と診断されている方を含む)が、かなり多くいらっしゃいます。
おなかの不調を主訴として来られるわけではありません。肩や腰の話をしていて、そこから伺うと出てくる、という順序です。だから、ご本人も「関係あると思っていなかった」とおっしゃることがよくあります。
私自身が変わったこと
私は平日、ほぼ植物中心の食事にしています。週末はBBQも肉も刺身も食べます。完璧ではありません。
この形にしてから、体重や血圧の数値が落ち着いてきた感覚があります(個人の体験です)。 数値以上に感じているのは、身体のベースラインが変わったことです。以前より、疲れの戻りが違うように感じています。
だから患者さんにお伝えするときも、「こうしなさい」ではなく「私はこうしていて、こう感じています」という形にしています。押しつけたい話ではありませんし、食は人それぞれの事情があるものだと思っています。
炎症——食と痛みをつなぐ道すじ
食べたものが、なぜ痛みやこりに関わるのか。その一番の手がかりが炎症です。
炎症というと、ケガをして赤く腫れる急性のものを思い浮かべます。ただ身体には、それとは別に目に見えないほど弱い炎症が、長く続くという状態があります。腫れも熱もなく、自覚もない。けれど身体の中では、炎症に関わる物質が出続けている——という状態です。
この状態が続くと、痛みを感じる神経が敏感になりやすいことが知られています。同じ刺激でも、痛みとして受け取りやすくなるということです。「大したことをしていないのに痛む」「治りが遅い」という状態の背景に、これが関わっていることがあります。
そして食事は、この弱い炎症を強める側にも、抑える側にも働きます。だから食は、構造の話と地続きなのです。
砂糖と、疲れやすさ
甘いものを食べると、その場では元気が出ます。ただ、血糖が急に上がったあとには、急に下がる時間帯が来ます。この上下が繰り返されると、身体は落ち着きにくくなります。
もうひとつ見落とされやすいのが、エネルギーを取り出す過程では、糖そのものだけでなく、それを扱うための栄養素も一緒に必要になるということです。甘いものに偏った食事は、エネルギーは足りていても、扱う側が足りなくなることがあります。
「食べているのに疲れる」という状態は、量ではなく、この釣り合いの問題であることがあります。
ミネラルと、筋肉のこわばり
筋肉は、縮むだけでなく緩むことにもエネルギーと材料を使います。 ここはあまり知られていない部分だと思います。
緩む側が働きにくくなると、筋肉は縮んだ位置から戻りにくくなります。夜のこむら返りや、まぶたのぴくつき、力を抜いているつもりなのに硬い——といった状態に、この釣り合いが関わっていることがあります。
整体師として気になるのはここです。硬さの理由が「使いすぎ」ではなく「緩む側の不足」だとしたら、揉んでも押しても届きません。
おなかの状態が、身体の他の場所に出ること
おなかは、消化だけをしている場所ではありません。腸のまわりには免疫に関わる仕組みが集まっていて、身体全体の炎症の状態にも関わっています。
加えて、腸は物理的にも身体の中心にあります。腸を包む膜は背骨の前側につながっているので、おなかの張りや不快感が、腰の安定に影響することがあります。 腰痛とおなかの不調が同時に来る方が少なくないのは、この構造も関わっていると考えています。
小麦で不調が出る方がいます
小麦を控えると体調が変わる、という方がいます。一方で、まったく気にせず食べていて何ともない方もいます。ここは本当に個人差が大きい部分です。
検査で明確に出るタイプの病気(セリアック病)とは別に、検査では出ないけれど不調が出る、という状態が知られるようになってきました。ただしこれは研究途上で、何がその反応を起こしているのかも、まだはっきりしていません。
「小麦は身体に悪い」という話ではありません。 合わない方が一定数いる、というだけです。心当たりがあれば試してみる価値はありますが、思い当たらないのに一律にやめる理由はないと考えています。
昔の食事が教えてくれること
私が伝統的な食文化に関心を持っているのは、懐古趣味からではありません。何世代も続いて、それで人が健康に生きてこられた食べ方には、理由があるはずだと思うからです。
長生きしている地域の食事を調べた研究や、近代的な食べ物が入る前後の身体の変化を記録した古い調査があります。それぞれ時代も方法も違いますが、共通して見えてくるものがあります。
- 長寿地域の食事に共通点——整体師が読み解くブルーゾーンの食習慣
- 伝統食と現代食の違いが骨格・歯並びを変える?プライスの発見
- 発酵食品と腸内細菌——味噌・納豆・ぬか漬けが腸に何をするか
- エドガーケイシーの食事哲学——100年前の叡智と現代栄養学が交差する場所
植物中心の食事について
私自身が平日そうしているので、よく聞かれます。ただ「全員がそうすべき」とは思っていません。
野菜や果物は、量のわりに栄養が詰まっています。だから増やすこと自体は、多くの方にとってプラスに働きやすいと考えています。一方で、極端に振ると足りなくなるものも出てきます。やるなら、足りなくなりやすいものを知ったうえでというのが、実際にやってみた実感です。
植物中心の食事で足りなくなりやすいものや、成長期の子どもの食については、noteで詳しく扱っています。
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何を食べるかの前に、どう食べるか
食の話は「何を食べるか」に集まりがちですが、身体の側から見ていると、食べ方やリズムのほうが影響しているのではと感じることがあります。
夜遅い時間の食事は、身体を休息に切り替えにくくします。時間が不規則だと、消化に関わる働きも安定しません。そして何より、続かない食事は変化を生みません。
完璧にやろうとして三日でやめるより、ゆるくても続くほうが身体は変わります。私が平日と週末で分けているのも、そのためです。
こういうときは、医療機関へ
食事で様子を見る前に、調べていただきたい状態があります。
- 体重が意図せず減っている、または急に増えている
- 血便・黒い便が出た
- 飲み込みにくい、食べるとつかえる
- 強い腹痛が続く、夜間に痛みで目が覚める
- 下痢や便秘が急に始まり、続いている(特に中高年以降)
- 発熱をともなうおなかの不調
- 特定の食べ物で、じんましん・息苦しさ・むくみが出たことがある
また、持病があって食事療法を受けている方、服薬中の方は、食生活を変える前に必ず主治医にご相談ください。 食事の変更が薬の効き方に影響することがあります。
今日から意識できること
具体的な方法はnoteに譲りますが、方向性だけお伝えします。
ひとつ目は、減らすより増やすこと。 「これをやめる」から入ると続きにくいので、野菜や果物を「足す」ほうから始めるのが現実的だと思っています。
ふたつ目は、食べる時間を安定させること。 何を食べるかより先に、いつ食べるかです。特に夜遅い食事は、身体を休ませる側の邪魔をします。
三つ目は、完璧を目指さないこと。 私も週末は好きなものを食べます。7割続くやり方のほうが、10割を三日でやめるより、身体には届きます。
食と身体のつながりについては、noteで整体師の実体験とともに詳しく書いています。
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よくいただく質問
Q. 食事を変えれば、肩こりや腰痛はやわらぎますか
「食事を変えれば痛みがなくなる」とは言えません。身体の構造として負担がかかっていれば、そこは構造として整える必要があります。ただ、構造だけを扱っていて変わりにくいとき、食が関わっていることはあります。 どちらか一方ではなく、両方だと考えています。個人差があります。
Q. どれくらいで身体は変わりますか
私自身の実感でいうと、数日で分かるものではありませんでした。数週間から数か月かけて、少しずつベースラインが変わっていく感じです。逆に言えば、すぐに変化が出ないからといって意味がないわけではないと思っています。効果を保証するものではありません。
Q. 何から始めればいいですか
やめることから入ると続きにくいので、野菜や果物を「足す」ところからをおすすめしています。今の食事を否定せずに増やすだけなので、続けやすいと感じています。
Q. サプリメントで補うのはどうですか
足りないものが分かっていて補うのと、なんとなく足すのは別だと考えています。食事とサプリでは、身体の中での振る舞いが違うことも報告されています。この話は単純ではないので、noteで一つずつ扱っています。
Q. 家族が協力してくれません
これは本当によく伺います。家族全員で変える必要はないと思っています。自分の分だけ、無理のない範囲で。食は人間関係でもあるので、正しさで押し切ると、たいてい続きません。
Q. 持病があるのですが、食事を変えても大丈夫ですか
必ず主治医にご相談ください。特に血糖・血圧・血液をさらさらにする薬などを飲まれている方は、食事の変更が薬の効き方に影響することがあります。 自己判断で大きく変えないでください。
おわりに
冒頭に書いたとおり、私は最初から食の話をするわけではありません。触って、動かして、それでも変わりにくいときに、はじめて別の可能性として出てくるものです。
ただ、そうやって食に行き着いた方の身体が、時間をかけて変わっていくのを見ることがあります。構造だけでも、栄養だけでもない。両方が身体を作っている——というのが、施術を続けてきて今のところの実感です。
気になったところの記事へ進んでみてください。
参考にした書籍
- Campbell TC『The China Study(チャイナ・スタディー)』
- Price WA『Nutrition and Physical Degeneration(食生活と身体の退化)』
- Buettner D『The Blue Zones(ブルーゾーン)』
- Greger M『How Not to Die』
免責事項:本記事は個人の体験談および一般的な健康情報の提供を目的としており、医療診断・治療に代わるものではありません。同様の効果を保証するものではありません。持病のある方・服薬中の方は生活習慣の変更前に必ず主治医にご相談ください。