
健康診断で血糖値を指摘されたとき、多くの方はまず糖や食事量のことを気にされます。それ自体はとても大切な視点です。ですが近年の研究では、体の中で静かに続く炎症や酸化ストレスが、インスリンの働きにくさ(インスリン抵抗性)と関わっている可能性が注目されています。この記事では、2型糖尿病の方110名を対象にしたレスベラトロール(ポリフェノールの一種)の臨床試験をもとに、研究で何が調べられ、何が報告されたのかを、柔道整復師の視点で丁寧に読み解きます。
血糖値が気になる人に知ってほしい「炎症」とのつながり
「炎症」と聞くと、ねんざをしたときのように赤く腫れて熱を持つ状態を思い浮かべる方が多いと思います。これは急性の炎症で、体が傷ついた組織を修復しようとする反応です。
一方で、はっきりした痛みや腫れがないまま、低いレベルの炎症反応が長く続いている状態があると考えられています。これが慢性炎症と呼ばれるものです。自覚しにくいため、本人も気づかないまま過ごしていることが少なくありません。
炎症は血液検査の数値で推し量られている
研究の世界では、慢性炎症の程度を血液検査の指標で推し量ることが一般的です。代表的なものが次の2つです。
- CRP(C反応性たんぱく):炎症があると肝臓でつくられる量が増えるたんぱく質
- IL-6(インターロイキン6):炎症に関わる情報伝達物質(サイトカイン)の一つで、CRPがつくられるきっかけにもなる
2型糖尿病とこうしたCRP・IL-6などの炎症指標との関連は、これまで多くの研究で調べられてきました。ただし、ここで大切なのは「関連がある」ことと「炎症が血糖値を上げる原因と決まった」ことは別だという点です。研究はいまも進んでいる段階で、両者がお互いに影響し合っている可能性も考えられています。
茨城県龍ケ崎市のすーさん夫婦の龍ケ崎整体院の施術の現場では、血糖値を指摘された方が、食事の量はとても気にしている一方で、睡眠不足や疲れの抜けにくさは「年のせい」と流していることが少なくないと感じます。これは医学的な事実ではなく、施術の現場で感じている傾向です。
なお、のどの渇きや尿の回数が増える、だるさが続くといった状態がある場合や強い症状がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。
なぜ炎症があると血糖値が下がりにくくなるのか(インスリン抵抗性と酸化ストレスの仕組み)
インスリンは糖を細胞に届ける「鍵」
食事をすると、血液中のブドウ糖が増えます。すると膵臓からインスリンというホルモンが出て、筋肉や肝臓、脂肪組織などの細胞にブドウ糖を取り込ませます。インスリンは、細胞の扉を開ける「鍵」のような役割を担っています。
インスリン抵抗性とは、インスリンが出ていても細胞側の反応が鈍くなり、扉が開きにくくなった状態のことです。そうなると、ブドウ糖が血液中に残りやすくなり、血糖値が下がりにくくなると考えられています。
炎症と酸化ストレスが関わると考えられている理由
主に基礎研究や観察研究から、次のような仕組みが考えられています。
- 炎症性サイトカインの影響:IL-6などの物質が、細胞の中でインスリンの信号が伝わる経路に影響する可能性が指摘されています
- 内臓脂肪の関わり:内臓のまわりの脂肪組織は、サイトカインを出す場所の一つとして注目されています
- 酸化ストレス:体内で生じる活性酸素と、それを処理する力のバランスが崩れた状態です。細胞の働きに負担がかかり、炎症とも互いに影響し合うと考えられています
- 高血糖との悪循環:血糖値が高い状態そのものが酸化ストレスを増やす方向に働くとも考えられており、循環の輪ができている可能性があります
つまり、血糖値の問題は「糖をとりすぎたかどうか」だけでなく、体の中の炎症や酸化ストレスの状態という、もう一つの側面からも研究されているということです。
ただし、ここで紹介したのは研究から考えられている仕組みであり、一人ひとりの体で同じことが起きているかどうかまではわかりません。ご自身の状態については、検査結果をもとに主治医と話し合うことが前提になります。
整体師が読み解く臨床試験|レスベラトロールで何が調べられたか
こうした背景から、炎症や酸化ストレスに関わる可能性のある食品成分として、ポリフェノールが研究されています。その一つがレスベラトロールです。
研究の概要
- 対象:2型糖尿病の方110名
- 内容:レスベラトロールを1日200mg摂取するグループと、有効成分を含まないもの(プラセボ)を摂取するグループで比べる
- 期間:24週間(約6か月)
- 調べた項目:血糖値、インスリン抵抗性、CRP・IL-6などの炎症指標、酸化ストレスの指標
研究では、レスベラトロールを摂取したグループで、血糖値やインスリン抵抗性、炎症指標、酸化ストレス指標が低下したと報告されています。
この研究がプラセボ対照試験であることには意味があります。人の体は、「何かを飲んでいる」という意識や季節の変化などでも数値が動くことがあります。成分を含まないものと比べることで、そうした影響をできるだけ差し引いて見ようとしているのです。
また、複数の臨床試験をまとめたメタ解析でも炎症指標との関連が検討されており、ポリフェノールが体内の炎症バランスに関わる可能性が示されています。
整体師として注意して読みたい点
- 1つの試験の結果であり、すべての人に同じことが起こるとは限りません
- 研究段階の知見であり、薬の代わりになると示したものではありません
- 使われたのはサプリメントとしての一定量です。食事でとる場合と同じように考えられるかは、この研究からはわかりません
- 服薬中の方がサプリメントを加えたいときは、始める前に主治医や薬剤師にご相談ください
論文を読むときに私が意識しているのは、「何が測られ、何が報告されたか」と「そこから言えないこと」を分けることです。この研究は、炎症という視点から血糖値を見ることの意味を考えるうえで、参考になる報告の一つだと受け止めています。
整体師として考えていることは、noteにも書いています。食と身体のつながりについては、noteで整体師の実体験とともに詳しく書いています。→ https://note.com/honest_rose9929
食べ物の成分を体全体で考える|整体師が大切にしている視点
特定の成分の研究を知ると、「これをとれば」と一つのものに期待を寄せたくなるかもしれません。ですが、先ほどの研究が教えてくれるのは、炎症や酸化ストレスという体全体の状態が、血糖値と関わっている可能性だと私は考えています。
BODY・MIND・SPIRITの三つの軸
私たちが大切にしているのは、体を次の三つの軸で見ることです。
- BODY:骨格や筋肉だけでなく、内臓や頭蓋も含めた体の構造
- MIND:食事や自然療法など、日々の暮らし方
- SPIRIT:それらを切り離さずに見る全体性
オステオパシーでは、体をひとつのつながりとして捉えます。たとえば肝臓は横隔膜のすぐ下にあり、呼吸のたびに横隔膜とともに動いていると考えられています。先ほど触れたCRPがつくられるのも肝臓です。だからといって、手技で炎症指標や血糖値が変わると言えるわけではありません。施術で行うのは、体の動きやこわばりを確かめ、気になる部位だけでなく関係していると考えられる部位もあわせて確認することです。血糖値の管理は、主治医のもとで続けることが前提です。
私自身は、平日はほぼ植物中心の食事、週末はBBQや肉・刺身も楽しむというゆるいスタイルです。食生活を変えてから、血圧の数値が落ち着いてきた感覚があります(個人の体験です)。
龍ケ崎で日々の施術のなかで患者さんと食事や睡眠、体の使い方を一緒に振り返ると、ご本人が気づいていなかった生活リズムの偏りが見えてくることがあります。これも施術の現場で感じていることで、医学的な事実として述べているものではありません。
まとめ
血糖値が下がりにくい背景には、インスリン抵抗性に加えて、慢性炎症や酸化ストレスが関わっている可能性が研究されています。2型糖尿病の方110名を対象にしたプラセボ対照試験では、レスベラトロールの摂取で血糖値や炎症指標などが低下したと報告されていますが、研究段階の知見です。成分だけに目を向けず体全体の状態として捉えながら、治療方針やサプリメントの利用については主治医とご相談ください。
参考文献
本記事の作成にあたり参照した研究論文です(内容は要約・意訳したものであり、原文の直接引用ではありません)。
- Role of resveratrol supplementation in regulation of glucose hemostasis, inflammation and oxidative stress in patients with diabetes mellitus type 2: A randomized, placebo-controlled trial(Complement Ther Med 2022) PubMed
- Effect of Resveratrol Supplementation on Inflammatory Markers: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials(Clin Ther 2018) PubMed
よくある質問
Q. レスベラトロールを飲めば血糖値は下がるの?
A. 2型糖尿病の方110名の研究では、1日200mgを24週間摂取したグループで血糖値やインスリン抵抗性の指標が低下したと報告されています。ただし一つの研究結果であり、誰にでも同じ変化が起きるとは言えず、治療の代わりにはなりません。
Q. 炎症の指標のCRPやIL-6って何を表しているの?
A. CRPは肝臓で作られるたんぱく質で、体内に炎症があると血液中で増えます。IL-6は炎症の情報を伝える物質(サイトカイン)の一つです。研究では、こうした数値を体内の炎症状態を測る目安として用いています。
Q. 糖尿病の薬を飲んでいてもサプリを試していいの?
A. 治療中の方がサプリメントを取り入れる場合は、自己判断せず主治医や薬剤師に相談してください。研究で用いられた量や期間はあくまで試験の条件であり、薬との組み合わせや体質によって適否が変わるため、個別の確認が欠かせません。

鈴木大樹(すずき だいき)
柔道整復師 / オステオパシー専門校在学中 / 産後リハビリ国際セミナー修了
茨城県龍ケ崎市で妻・佳代とともに整体院を営む整体師。食・自然療法・筋膜のつながりを臨床と学びの中で深め、「なぜ身体はそうなるのか」を発信し続けています。
さらに深く知りたい方へ
腸と身体の痛みがつながっているのかどうか、わかっていることとわかっていないことをnoteに書いています。
・腸と身体の痛みは、つながっているのか(無料)
・1兆724億円の市場で、飲んだ菌はどこへ行くのか(有料)
・2万5千人を5年追って、オメガ3のサプリと薬は何を変えたのか(有料)
有料記事は買い切りです。価格(税込)はnoteの各記事ページに表示しています。
noteの記事は、整体師が研究や施術の中で考えたことをまとめた読み物です。診断・治療に代わるものではありません。
茨城県龍ケ崎市で実際に施術を受けたい方へ
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